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動画生成AIの常識を破壊した OpenAI「Sora」の衝撃

2024年03月04日 07時00分更新

今後は“計算量の多さ”が勝負か

Soraについての安全性に言及しているところ。かなり詳細に書かれている

 ただし、Soraのリリース時期は不明で、Open AIとマイクロソフトの関係者のみが触ることができるようです。ここまで精緻な動画がいきなり作れてしまうことで、フェイク動画なども作りやすくなる可能性があるため、すでに懸念が出ています。OpenAIは、安全対策を講じることを明らかにしており、Soraで生成されたかどうかを検出するシステムや、将来製品に組み入れる場合には、生成AIにより作成したことを示すメタデータを組み入れる予定であることを明らかにしています。社会の反応を見ながら、慎重に公開してくると思われます。

 ただ、こうした技術が可能になったということは追従する他社にとっても重要な情報です。Runwayにはグーグルの資本が入っていますし、Midjourneyは、計算資源確保のための資金を求めてXと提携するという話が出ています。いずれにしても、お金をかけてOpenAIに伍するほどの計算資源を確保すれば、追いつける可能性がまだあるとはいえます。各社とも、動画生成はOpenAIの一人勝ちという状況にしないよう、全力で追いかけるのではないでしょうか。

 ただ、計算量の差によって、コミュニティーモデルが追いつけなくなりつつあるのが、少し残念です。とはいえ、AnimeteDiffに代表されるモデルも、まだまだ発展が継続しており、予想もしなかったカウンターの方法論が出てくることには期待したいと思います。

 

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筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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