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ドコモ、通信品質改善の取り組みは計画どおりとアピール ソフトバンクのCMへの牽制も

2024年02月03日 09時00分更新

 NTTドコモは、「通信サービス品質改善の取り組み状況」と題するメディア向け説明会を開催。昨年までの対策状況の紹介とともに、新たな取り組みについても紹介した。

NTTドコモ

ネットワークへの集中対策は昨年12月までに予定していた分は計画通りに完了した

▼昨年10月に公表していた全国2000ヵ所以上での対策を完了
▼SNS上でのネガティブな意見も約75%減少した

 同社では昨年10月に、全国2000ヵ所以上のスポット、鉄道動線での対策を進め、特に前者については「2023年12月までに9割以上で対策を完了させる予定」としてきた。この点については「計画どおり完了」とアピール。通信品質も大きく改善されたとする。

ドコモは昨年10月に通信品質改善の集中対策の実施を公表

2023年に入り、不調が伝えられるNTTドコモのネットワーク。同社は10月10日に説明会を開催。全国2000ヵ所以上での集中対策など、取り組みを公表した。

 実際には、短期間では設備の対策が難しいと判断していた場所を数十ヵ所、上積みで対策をしたため、予定を上回っている。また、対策した箇所での下りスループットは、昨年5月時点の数値より、平均で1.7倍になっているとする。こうした対策をしたスポットは都心部のみではない。大阪駅・名古屋駅でも同様で、スループットが向上している。

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当初の計画を上回る箇所で対策を実施。平均スループットは大きく向上した

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大阪駅、名古屋駅でのデータも

 鉄道動線においては、既存基地局を活用した対策のほか、5Gと4Gの切り替えの高速化、設備増設による対策も進めており、乗車時間の90%で動画視聴などにおけるユーザー体感で不便無く利用できるとしている。

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鉄道動線は既存基地局での対策は完了。さらに取り組みを進める

 この結果、同社調べでのSNS(X)でのツイート数で、昨年3月と比較して、ドコモの通信品質に対するネガティブな意見が約75%減と大きく減少したとのことだ。

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SNSでのネガティブな意見は減少

 イベント対策についても紹介された。特に昨夏で「つながらない!」と意見が多かったコミックマーケットでは、年末のコミックマーケット103で、展示棟や待機列での5G基地局の増設、移動基地局や臨時局の設置で、下りの平均スループットが約1.5倍、Xのネガティブの意見が約80%減とする。引き続き、今夏のコミケのほか、花火大会やフェスでも対策を強化していく。

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冬コミケでの対策を紹介

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こちらもスループットが向上し、ネガティブな意見が減少

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今年のイベントでも引き続き対策を進める

 さらに、ユーザーの体感品質低下をいち早く把握する手段として、昨年10月に公表済みのSNSや「ドコモスピードテストアプリ」でのデータのほか、新たなアプリの活用を進める。

 1月中旬にすでに開始しているのは「d払い」アプリで、バーコード表示が遅い場合などに、基地局のデータなどから、体感劣化場所の早期検知を可能にする。今後はドコモが提供している動画アプリ、ウェブ閲覧にも拡大予定だ。

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新たに決済アプリや動画アプリのデータを活用して、問題のあるスポットを早期に見つけ出す考え

▼大阪で「いちばん快適」とアピールするソフトバンクに対し、
▼「どういう調査かわからない」と牽制

 質疑応答では、ここに来て、通信品質の良さを一般にアピールするソフトバンクへの牽制とも受け取れる発言もあった。

 今回話に出たのは、ソフトバンクが大阪限定で放送しているテレビCMについて(ウェブサイトも用意されている→ https://www.softbank.jp/mobile/network/service/osaka/)。

 その中でソフトバンクは、「大阪府でいちばん快適につながる」「ソフトバンクは快適なネットワーク品質 No.1」とアピールしており、後者についてはOpensignal社のデータを基に、また海遊館・通天閣・天王寺動物園などの7ヵ所では、同社グループ企業のAgoop社独自の測定で「No.1」と紹介している。

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ソフトバンクのサイトでは、大阪の人気スポットでNo.1であるとアピールされている

 これに対し、今回説明を行なったNTTドコモ常務執行役員ネットワーク本部長の小林宏氏は、「どういう調査をされているかよくわからない」「根拠がわからない」と指摘。「いちばん快適」「No.1」と言うのであれば、総務省の速度調査のガイドラインに基づく形にすべきではないかと問題提起するとともに、「優良誤認になるのではと心配している」とも語った。

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NTTドコモ常務執行役員ネットワーク本部長の小林宏氏

 さらに、ソフトバンクがNo.1として紹介しているスポットで、自社で測定を実施し、特に海遊館についてはドコモの方がスループットでも遅延でもいいのではという結果が出ているとした。

 なお、総務省の実効速度計測のガイドラインでは、全国10都市から、500m四方で区分けしたメッシュのうち人口が多い300を選定。さらにメッシュ内でランダムに選ばれた5地点の計1500地点で速度を計測する。この形での速度計測が、ユーザーが体感する通信品質と直結しているのかという点も含めて、今後議論が生じそうだ。

 

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