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巨大IT規制へ 政府、日本版デジタル市場法を準備か

2024年01月23日 07時00分更新

 プラットフォームの独占的な地位による弊害を考えてみると、個人的にはスポーツの動画配信サービスの現状が頭に浮かぶ。

 アップルやグーグルと比べるとかなり規模は小さいが、DAZNというスポーツ専門の動画配信サービスがある。サッカーのJリーグやスペインリーグを、日本では独占的に配信している。

 DAZNは3年連続で値上げが繰り返され、2月14日から月額プランが3700円から4200円になる。

 値上げを繰り返す手法には違和感があるが、サッカーが見たい人にとっては背に腹は代えられない。他に選択肢がないからだ。

 ならば、少なくともJリーグは複数のプラットフォームと契約して、競争を促すことができないのだろうか。

 EUはデジタル市場法に基づき、アルファベット、アマゾン、アップル、バイトダンス、メタ、マイクロソフトの6社をゲートキーパーに指定している。

 TikTokを運営するバイトダンスは中国系の企業だが、残る5社はいずれも米国発の企業だ。

 一方で、日本のプラットフォーム新法は、まだ制度の概要が明らかではないが、おそらく「日本版デジタル市場法」と呼べるような内容になるだろう。

 スポーツの動画配信サービスに限らず、独占の弊害を打破するには、競争環境を整備し、第二、第三の選択肢が存在する市場を形成することが重要だ。

 プラットフォーム企業のごう慢な振る舞いに対して、一定の規制は必要だ。

 だが、より強力な規制の導入以上に、Googleに代わる検索エンジン、iPhoneに代わるスマホ、Amazonに代わるECプラットフォームが登場してほしい。

 そうなれば、プラットフォームが自身が、サービスや料金体系の改善に乗り出すきっかけになる。

 現行のプラットフォームに対抗しうる第二、第三の選択肢をどう育てるか。オンライン・プラットフォーム政策を考えるうえで、規制と育成の2つの視点が重要だと改めて思うところだ。

 

筆者──小島寛明

1975年生まれ、上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒。2000年に朝日新聞社に入社、社会部記者を経て、2012年より開発コンサルティング会社に勤務し、モザンビークやラテンアメリカ、東北の被災地などで国際協力分野の技術協力プロジェクトや調査に従事した。2017年6月よりフリーランスの記者として活動している。取材のテーマは「テクノロジーと社会」「アフリカと日本」「東北」など。著書に『仮想通貨の新ルール』(ビジネスインサイダージャパン取材班との共著)。

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