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『赤ちゃんポストの真実』(森本修代 著、中公文庫)を読む

赤ちゃんポストは「子どもの権利」という視点で考えるべきだ

2024年01月11日 07時00分更新

子どもの権利という視点で考えるべきテーマ

 しかし、だからこそ、関西大の山縣文治教授による以下の発言には強い説得力を感じた。氏はポストへの賛否はさておき、本来、「子どもの権利という視点で考えるべきテーマ」であると指摘しているのだ。

 「出自を知る権利だけでなく、母子のトータルな人権という観点から考える必要があります。人権がからむ重要な問題なのに、国も議員も逃げています。誤解されているようですが、私は赤ちゃんポストに反対しているわけではありません。設置を認めるなら、法律を整備してルールを作るべきです。社会の中で、赤ちゃんポストを議論していくことが必要です」(345ページより)

 赤ちゃんポストの背景にある社会的な問題こそ、避けて通らずに議論すべきだということである。「それは、私にも向けられた言葉だと思った」と著者は記しているが、同じことは私たちにもあてはまるのではないだろうか?

 
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筆者紹介:印南敦史

作家、書評家。株式会社アンビエンス代表取締役。
1962年、東京都生まれ。
「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「東洋経済オンライン」「サライ.jp」「マイナビニュース」などで書評欄を担当し、年間700冊以上の読書量を誇る。
著書に『遅読家のための読書術』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書する家族のつくりかた 親子で本好きになる25のゲームメソッド』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(以上、星海社新書)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、などのほか、音楽関連の書籍やエッセイなども多数。

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