週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「聖地」で満たす大人の探求心

「盆栽って結局何が楽しいの?」って人、その答え、すべて「さいたま市大宮盆栽美術館」にあります

2023年12月14日 11時00分更新

文● 村野晃一/編集 ASCII
提供: さいたま市

この記事には書ききれなかったこと

 企画展示室を出ると、最後は約60の鉢が展示された盆栽庭園の見学コースだ。床の間飾りやギャラリー展示と違い、360度どの方向からも気になった盆栽を眺められるのが特長。また、しゃがみこんで下から仰ぎ見てもあまり恥ずかしくない(笑)。

 取材に訪れたこの日は、快晴とまではいかないが、薄く雲のかかった過ごしやすい日和で、常緑樹の緑とこれから紅葉を迎えんとする色味の付いた葉とが入り混じった庭園は、ふらふらと散策して歩くにはおあつらえ向きの場所だった。この美しい庭園を巡りながらも、田口さんから様々なお話を聞かせていただいた。

 盆栽村の成り立ちから戦火での荒廃、GHQにも芸術品として認められていたという話、そのGHQが本国での広告塔になり盆栽文化のエバンジェリストになっていったこと、中国の盆景との違い、大阪万博での盆栽展の盛り上がり、海外のBONSAI文化の現状、盆栽自体の国際間での往来が難しく海外作品の展示会などが開催できないという話、実のなる盆栽の見方や剪定の仕方、盆栽美術館所蔵の盆栽の総額の価値、それをどうやって集めたのか、などなどなど。

  聞けば聞くほど盆栽は奥が深い。奥深く、そして面白い。正直なところ、私はまだ盆栽の本当の楽しさには気づけていないのかもしれない。ただ、この大宮盆栽美術館巡りが最高に楽しかったのは間違いない。

 来館前に抱えていた疑問にはすべて答えていただいた。それでもまだ知りたいと思う。もっと聞きたいと思う。この年齢になってさえ、新しく知識を得ることに喜べる自分であるのが嬉しい。そんなことを思わせてくれる1日だった。

 今回の原稿は長くなってしまったが、これでもだいぶ濃縮して書いたので、盆栽の魅力が少しは伝わったのではないかと思いたいが、いかがだっただろうか。

 この記事だけでは、まだその疑問の答えを見つけられなかったという方は、ぜひご自身でこの素敵な場所を訪れて、自分の言葉で聞いてみて欲しい。きっと、その答えはここにあるから。
 


さいたま市大宮盆栽美術館

埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3

開館時間:
(3月~10月)午前9時~午後4時30分 ※入館は午後4時まで
(11月~2月)午前9時~午後4時 ※入館は午後3時30分まで
休館日:木曜日(祝日の場合は開館)、年末年始、臨時休館日あり

観覧料:
一般 310円(200円)
高大生・65歳以上 150円(100円)/ 小中学生 100円(50円)
※障害者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1名は半額
※( )内は20名以上の団体料金


年間パスポート:
一般 1,040円/高大生・65歳以上 520円/小中学生 310円


この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう