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「聖地」で満たす大人の探求心

「盆栽って結局何が楽しいの?」って人、その答え、すべて「さいたま市大宮盆栽美術館」にあります

2023年12月14日 11時00分更新

文● 村野晃一/編集 ASCII
提供: さいたま市

聖地と呼ばれる地にある「大宮盆栽美術館」

 そんな、下調べをしてこなかった取材の言い訳を考えながら電車にゆられ、私はさいたま市大宮盆栽美術館を訪ねるべくJR宇都宮線の土呂駅に降り立った。

 この近隣に、かつて盆栽村と呼ばれた、碁盤の目のように区画された町に多くの盆栽園があった地区があり、数は少なくなってしまったが、今でも複数の盆栽園がある一帯が盆栽町として残り、大宮が盆栽の聖地と呼ばれる所以になっている。大宮盆栽美術館は、この土呂駅から徒歩5分ほどの場所にある。

さいたま市大宮盆栽美術館の最寄り駅はJR宇都宮線の土呂駅。東武アーバンパークラインの大宮公園駅から歩くこともできる

大宮盆栽美術館は土呂駅から徒歩5分ほど。裏手に専用駐車場もあるので、車で来場することもできる

 美術館入口のドアをくぐると、すぐ正面に「季節の一鉢」という展示がある。あとから聞いた話だが、来場者を最初に迎えるこの一鉢は、その時期・季節にあったものが選ばれて展示されるそうで、1週間に一度のペースで入れ替わり、訪れるたびに違う盆栽が出迎えてくれる。

 私が取材に訪れた日にはちょうど企画展として、日本盆栽作家協会の「第32回 作家展」が開催されていて、この鉢も協会の作家さんの作品だそう。しかしながら、ここを訪れたばかりの私には、この作品がどのくらいすごいものなのかまだ全然ぴんと来ていない。まあ、美しいなということくらいは分かるのだが、帰り際にはまた違った趣を感じ取れるようになっているのだろうか。

この日出迎えてくれた「季節の一鉢」。秋の入口に訪れたので、これから紅葉を迎える直前の鉢だという

 この日、館内を案内してくれたのは、大宮盆栽美術館の学芸員である田口文哉さん。日本大学大学院芸術学研究科の講師として、大学で教鞭を取ることもあるそうだ。

大宮盆栽美術館 学芸員 田口 文哉さん

──とても興味があるのですが、盆栽に関する知識としては波平さんの趣味、というくらいしか持っていないドシロートです。今日はいろいろ教えてください。

田口「せっかくですから、館内をご案内しながらご説明しましょう」

 そう言って田口さんと共に向かったのは本美術館の観覧コース。

 大宮盆栽美術館には大きく分けて6つのエリアがあり、まずはじめに入口を入ってすぐ、先ほどの「季節の一鉢」が飾られていた「ロビー」。ここには、観覧受付や、ちょっとしたお土産品などが買えるミュージアムショップがある。

 続いて「プロローグ」と題されたパネル展示コーナー。ここでは盆栽の鑑賞法など基礎的な知識がパネル展示して説明されている。

 それに続く長い通路は、本館のメイン展示会場のひとつ「コレクションギャラリー」となっていて、季節に合わせた作品展示や企画展作品の展示が行われている。

 ここからルートは一旦中庭となる「盆栽庭園」に出て、左手にある「企画展示室」へ。ここでは、盆栽に関する歴史展や美術展などが開催されている。

 室内展示を観覧し終えたら、本館のもうひとつの作品展示場「盆栽庭園」へ。こちらは外置きの鉢が広い庭園内に約60点も展示され、園内を自由に観覧できる。

 また、ロビーの2階は庭園を一望できるテラスと講座室があり、講座室では盆栽の鑑賞法や歴史を学べる講義や、技術解説を受けながら盆栽づくりを学べる体験実習などが行われている。

大宮盆栽美術館のフロアマップ

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