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「NTTの完全民営化は愚策」「この主張はナンセンス」NTT法廃止議論めぐり関係者が“レスバ”

2023年11月17日 13時45分更新

NTTロゴ

 11月17日11時現在、NTT法の廃止議論をめぐり、X上で関係者が激しい公開議論、いわゆる“レスバ(レスバトル)”を展開している。

楽天・三木谷会長のポストをきっかけに各社が参戦

 発端となったのは、楽天モバイル三木谷会長が11月14日夜、Xに投稿した以下のポストだ。

 三木谷会長は「報道どおりだとすると、自民党の「甘利氏」をリーダーとするプロジェクト。『NTT法を廃止』して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない」と発言。NTT法廃止は通信費値下げとは真逆の動きであり、最悪の愚策だとの考えを示した。

ソフトバンク宮川社長が参戦

 三木谷会長のポストからおよそ2時間半後の同日深夜には、ソフトバンク宮川社長が本件について言及。「三木谷社長だけに、政府との溝を作らせるのはアンフェアなので、私も久しぶりに投稿します」とした上、複数のポストに分けて次のように主張した。

投稿の要点

・NTTが電電公社から引き継いだ膨大な資産には国税が投入されている
・NTTが地下に埋設した光ファイバーは、税金を投入し、30年以上かけて構築したものだ
・本来、国が運営すべきインフラを代わりに運営してもらうために特殊法人と特殊法人法がある
・有事の際、国が支えるべきインフラを一民間企業のものにしてはならない
・50年先、100年先にどのような有事が起こるかわからない以上、NTTの資産を民間に渡すことは不適切だ

 なお、同紙が個人のXアカウントで発信するのは、2016年9月以来、7年ぶりとなる。

KDDI高橋社長も三木谷会長に援護射撃

 一夜明けた翌11月15日朝には、KDDIの髙橋社長も本件に参戦。三木谷会長と宮川社長の発言も踏まえ、三木谷会長へのリプライというかたちで以下のような考えを示した。

投稿の要点

・NTT法廃止については、当初、防衛財源確保を目的とした議論として始まったが、いつの間にか議論の目的がNTT法廃止にすり替わっている
・公正競争や有事対応への観点から、多額の血税で構築した特別な資産を持つNTTの義務を規定したNTT法を単純に廃止することはあってはならない
・NTT法廃止を他の法律でカバーするのであれば、カバーできるようになるまでNTT法は廃止はしてはならないことを明確化する必要がある
・ 多くの人々がNTT法廃止に反対しているなか、押し通そうとすることは疑問だ

 髙橋社長についても、個人アカウントでのポストは2019年8月30日に投稿された「バルス」以来、4年ぶり。

NTT広報室公式アカウントが三木谷会長に直接反論

 さらに、三木谷会長のポストから2日以上が経過した11月17日午前。これまで沈黙を守ってきた日本電信電話(NTT)が、同社広報室の公式アカウントで突如として反論に出た。

 同アカウントは発端となった三木谷会長のポストを引用するかたちで、複数のポストに分けて以下のように主張した。

投稿の要点

・民営化後の保有資産は最終的には株主に帰属するため、「税金で整備した光ファイバー網を持つNTTの完全民営化は愚策」という主張はナンセンスだ
・そもそもNTTの光ファイバーのほとんどは民営化後に敷設している
・KDD(現KDDI)も電電公社から分離した際に同公社の資産を引き継いだが、KDD法を廃止して完全民営化した後も公社時代の資産を保有して事業を営んでいる
・ソフトバンクも元々の母体である日本テレコムが国鉄から分割された際、国鉄の通信資産を受け継ぎ事業を継続している
・海外の事例でも、ドイツテレコム、フランステレコムなどが会社法を廃止する際に保有する資産を受け継いでいる

 同社に限らず、日本の大手企業の広報がSNS上で相手を名指しして反論することは珍しい。

「NTT法廃止」提言案の報道がきっかけに

 NTT法のあり方をめぐっては11月13日以降、自民党の甘利前幹事長が座長を務める作業チームが「2025年の通常国会までに同法を廃止すべき」とする提言案をまとめたと複数のメディアが報道。三木谷会長らの発言も、こうした報道を受けたものとみられる。

 一連の報道によると、同提言案は党内でも反対の声が挙がっているため、今後改めて、反対意見も踏まえた新たな提言案を作成する予定だという。

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