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【写真家レビュー】iPhone 15 Pro Maxは買えばきっと多幸感が得られるモデル

2023年11月17日 08時30分更新

下弦の月がきれいだったので、望遠カメラで撮影。「ナイトモード」で露光時間は3秒だったが、驚くほどシャープに撮れた

秒単位の撮影でも三脚を使って撮影したかのよう
シャープな「ナイトモード」

 「ナイトモード」も今回驚かされた機能のひとつ。レンズが明るいためか、よほど暗くないとオンにならないのだが、強力な手ブレ補正のおかげで秒単位の撮影でも、まるで三脚に立てて撮影したようにシャープだった。たとえば函館山からの夜景のような、暗い遠景の中に街明かりが点在するような場面で威力を発揮すると思う。函館山に行かれる方は僕に代わってぜひお試しください。

これも「ナイトモード」……というつもりで撮ったのだが、ふつうにシャッターが切れた。ちなみに2倍(48mm)相当、つまりメインカメラの中央部を切り出しているのだが、画質にはまったく不満がない

 操作面でのトピックは、従来側面にあった「着信/サイレントスイッチ」が、Pro/Pro Maxは「アクションボタン」に変わったこと。長押しで着信音のオンオフができるのだが、これに好きな機能を割り当ててられる。その中に「カメラ」もあり、ワンプッシュでカメラを起動できるのだ。

選べる機能はアクセシビリティ、ショートカット、サイレントモード、カメラ、フラッシュライト、フォーカス、拡大鏡、翻訳、ボイスメモの9種類。海外に行ったときは翻訳が役に立ちそう

側面の一番上に見えるのがアクションボタン。ケースを装着すると押しにくい気もするが、魅力的な機能ではある

取り回しの良さもiPhoneシリーズの魅力
買えばきっと多幸感が得られるモデル

 お借りした端末を返却するにあたり、撮影した写真をAirDropで自分のMacBook Proに転送したのだが、こうした取り回しの良さもiPhoneシリーズの魅力。というわけで身の回りがどんどんアップル製品で占められていくのだが、それはともかくMacBook Proで写真を開くとシャープネスとディテールのバランスが絶妙で、意味が伝わるか心配だが「写真らしい写真」という印象を受けた。スマートフォンによってはレンズやセンサーの小ささを補うため、シャープネスをかけすぎて輪郭などのディテールが荒れる機種もある。撮った写真はどこかCGっぽさや、いかにもデジタル処理をした感じがしてしまうのだ。

 しかしここ最近のiPhoneシリーズは、写真としての美しさや見やすさをよく研究しているように感じる。以前はHDRがやや効き過ぎ、写真としての力強さや深みが足りないと感じるときもあったが、今回iPhone 15 Pro Maxを使って、iPhoneシリーズの絵づくりの巧みさを改めて感じた。それだけで記事が1本書けてしまうので割愛したが、ProRAWからレタッチで細かく追い込むと、ミラーレスカメラや一眼レフで撮影したような深みのある写真に仕上げることもできる。

 静止画だけでも魅力を紹介しきれないiPhone 15 Pro Maxだが、動画はさらに多彩な機能を搭載。プロの撮影でも十分通用するスペックを備えている。ドローンやジンバルの普及もあり、たぶん多くの現場で導入されていくだろう。18万9800円~という価格が高いか安いかは人それぞれだと思うが、外装やカメラ以外の機能も含めて、買えばきっと多幸感が得られるモデルだと思う(欲しいなぁ)。

 

筆者紹介――鹿野貴司

 1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。

 写真集に『山梨県早川町 日本一小さな町の写真館』(平凡社)など。公益社団法人日本写真家協会会員。

 

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