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スマホの次? アップル出身者が開発する、AI時代のウェアラブル「Humane Ai Pin」とは

2023年11月13日 18時15分更新

Humane Ai Pin

Humane Ai Pin

 米国のAI関連企業Humaneは11月9日(現地時間)、ウェアラブルAIデバイス「Humane Ai Pin」を11月16日より米国で発売すると発表した。

胸ポケットに取り付けるウェアラブルAI

 Humane Ai Pinは服の胸ポケットなどに装着できるウェアラブルデバイスだ。縦47.50mm、横44.50mmとスマートウォッチをひとまわり小ぶりにしたサイズ感。専用バッテリーブースターとは内蔵された磁石で接続する。

取り付け方法のイメージ

取り付け方法のイメージ

 本体にはカメラやタッチパネル、マイク、スピーカーなどを搭載する一方、物理的なディスプレーはない。代わりに小型プロジェクターを内蔵しており、メールの確認など視覚的なUIが必要な場面では、手のひらにプロジェクターから情報を投影して対応する。操作も音声とジェスチャー中心で、スマートフォンよりスマートスピーカーに近いデバイスだ。

手のひらに情報を投影することも可能

手のひらに情報を投影することも可能

 スピーカーは頭部伝達関数 (HRTF)を利用して、個人に最適化された音を出せる仕組みを採用。

 本体はモバイル通信に対応しており、スマートフォンとのペアリングなしで音声通話とデータ通信を利用できる。

AIを活用した複数の機能を搭載

 機能面では電話の着信通知や音楽再生など一般的な機能のほか、以下のような機能も搭載する。

●栄養管理の手助け

栄養管理を手助けする機能の利用イメージ

栄養管理を手助けする機能の利用イメージ

 カメラで食べ物を認識し、ユーザーの栄養管理を手助けする機能。例えば果物を手に取って含まれる成分を尋ねたり、食べても問題ないか判断してもらうことが可能だ。

●ユーザーのスタイルにあわせたメールの作成

 メールの相手と伝えたい内容を指示すると、AIが指示を踏まえてメールの文面を作成、送信してくれる。

 例えば「ポールに、『ハイキングを終えたところです。素晴らしい提案をありがとう』と伝えてください」と指示すると、AIが「こんにちはポール。あなたのハイキングの提案は素晴らしかったです。まだ頂上に着いたばかりですが、素晴らしい景色です」という文章を起こし、ポールにメールを送ってくれるという具合だ。

メール作成機能の利用イメージ

メール作成機能の利用イメージ

 普段ユーザーが使っているスタイルを文面に反映するため、あたかもユーザー自身が書いているかのようなメールに仕上がるという。

●メールの中から必要な情報を引き出す

 受信したメールを解析して、必要な情報のみを引き出すこともできる。例えば出張で展示会へ出かけた際、「田中部長がチェックしてほしいとメールしてきたブースは何ですか?」と尋ねると、AIが「A社とB社です」と答えてくれるようなイメージだ。

メールの中から必要な情報だけを引き出すこともできる

メールの中から必要な情報だけを引き出すこともできる

 さらに続けてブースの開場時間を尋ねたり、訪問を忘れないようリマインダーを設定することもできる。

●「Catch me up.」で見逃した可能性のある要件を抽出

 Humane Ai Pinに「Catch me up.」と告げると、メッセージや電話を解析して、情報を簡単にまとめてくれる。

Catch me upの利用イメージ

Catch me upの利用イメージ

 例えばあなたの休暇中に職場のチーム内でさまざまなやり取りがあった場合、これまでは休み明けに大量のメッセージからやり取りを辿り、結論に辿り着く必要があった。

 だが、本機能を使えば、AIが「新人歓迎会の会場は居酒屋〇〇。18時に現地集合」と要点をまとめた状態で教えてくれる。結論が出るまでに生じた「今回はどの店にする?」「集合は何時にする?」といったやり取りは省略されるので、限りある時間を節約できるというわけだ。

●自動音声通訳

自動音声翻訳の利用イメージ

自動音声翻訳の利用イメージ

 Humane Ai Pinはマイクで受けた音声から相手が使う言語を判別し、自動で通訳することもできる。

 通訳機能自体は専用デバイスやスマホアプリがすでに数多く出回っており珍しいものではないが、自分と相手の間に翻訳デバイスやスマホなどを置くことなく、ポケットに付けたHumane Ai Pinのみで対応できる点は大きなアドバンテージと言えるだろう。

OSは専用の「Cosmos」を採用しプライバシーにも重視

 本製品では独自OS「Cosmos」を採用。ユーザーが必要とする機能を素早く理解し、適切なAIエクスペリエンスやサービスに即座に接続する仕組みとなっており、アプリのダウンロードや管理などは必要ない。

 プライバシー面では本体に専用プライバシーチップで管理された「Trust Light」を搭載。各種センサーがアクティブになった際に点灯するほか、同機能が侵害された際はHumane Ai Pinを自動でシャットダウンし、同社のエンジニアによる専門サービスを受けなければならないという念の入れようだ。

 本体カラーはEclipse、Equinox、Lunarの3色展開。価格は699ドル(約10万6000円)からで、本体のほかにバッテリーブースター(2個)、充電パッド、充電ケース、ケーブル、アダプターなどが含まれる。月額24ドル(約3600円)の「Humane サブスクリプション」を利用すれば、Humane Ai Pin専用の電話番号や無制限の音声通話、専用クラウドストレージ「Humane.center」へのアクセスも可能だ。

本体カラーはEclipse、Equinox、Lunarの3色を用意

本体カラーはEclipse、Equinox、Lunarの3色を用意

 Humaneは2018年、アップルの元デザイン部長でiPhoneやMacの開発に長年携わったイムラン・チャウドリ氏と、同じくアップルでソフトウェアエンジニアリングディレクターを務めたベサニー・ボンジョルノ氏が設立したAI関連企業。2023年3月には、OpenAIやマイクロソフトなどから出資も受けており、Humane Ai Pinにも両社の技術が活用されているという。

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