新MacBook Pro、M3 Maxはどれほど速くなったのか? 約110万モデルで検証した(本田雅一)
極めて効果的なレイトレーシング、メッシュシェーダのアクセラレータ
「M3 MaxのGPUがどれほど速くなったのか?」と、Geekbench 6でComputeテストをしてみた。ところが、高速化されているのだが、コア数あたりのパフォーマンスにすると少しだけしか速くなっていない。
このテストはGPUをジェネラルな演算プロセッサーとして使うもので、いわゆる3Dグラフィクスやアニメーションを生成するものではないが、この結果はやや意外なものだった。
では期待はずれなのかといえば、そうではない。
アップルは3Dアニメーションのレンダリング処理能力を高めるため、ボトルネックとなる部分をハードウェアでアクセラレート(加速)させる機能と、数1000の処理が並行して走るGPUタスクがメモリー割り当てでストールしないよう効率的に管理する機能をM3ファミリーのGPUに追加した。
アクセラレータはレイトレーシング(A17 Proにも搭載されていた)とメッシュシェーダに対するもので、この効果は極めて大きい。
映画など高品位なCGアニメーションを制作するMaxonのCinema 4Dで使われているレンダリングエンジンCineRender(前述したArchicadもシーンレンダリングのエンジンとして採用している)は、極めて写実的なCGを生成できることで知られている。
そのCineRenderでのレンダリング性能を計測するのがCinebenchで、その最新版であるCinebench 2024ではGPUでのテストに対応した。Mac版はアップル純正ライブラリのMetalを通じてレンダリングをするため、M3ファミリー搭載のアクセラレータが機能する。
GPUコアあたりの性能はM2ファミリーとの比較でも2倍以上になるようだ。
40個のGPUを搭載するM3 Maxのテスト機では、64個のGPUを搭載するM1 Ultraの2倍以上、76個のGPUを搭載するM2 Ultraよりもおよそ30%早いスコアを出した。このスコアはレンダリングのスループットそのもので、ストレートにそのまま「3Dアニメーションがレンダリングし終えるまでの時間」が短縮されると解釈していい。
また搭載されたアクセラレータがよく効いていることの証左でもある。
おそらく将来は80個のGPUを搭載するM3 UltraがMac StudioとMac Pro向けに登場するのだろうが、MacBook Proの薄く軽量なボディでここまでの性能を実現している意味は大きいだろう。
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