週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ノックするとペン軸が結晶パターンに変形「SwitchPen」を衝動買い

2023年11月04日 12時00分更新

彫刻家でアーティストのノア・デレッダ(Noah Deledda)氏のSwitchPenは「手のひらで動くアート」だ

「手のひらで動くアート」
SwitchPenはなかなか魅力的なメカニズム

 SwitchPenの最大の特徴は、米国の彫刻家でありアーティストでもあるノア・デレッダ(Noah Deledda)氏によって考案された「ノックするとフリーズするように、結晶パターンがボールパン軸から芯先に向かって出てくる」プロセスの見える魔訶不思議なボールペンだ。

7本購入したが筆者に残ったのはこの2本

 ノックする前の通常時には、単にメタリックなどこにでもある円筒形のボールペンだが、ノックすると「パリ、パリ、パリ、パリ」とかすかな音を立てながら、単なる円筒形だった軸がクリップ側からペン先に向かって三角形の結晶が凍りつくようなイメージで変化する。

使用前のごく普通の状態のSwitchPen(手前のブラック)、ノックして芯先を出したシルバー(背後)

 クラッシュされ軸が結晶化したボディーは、非常に触り心地も良く、指にフィットし筆記時に無駄なスリップを防止する役割も果たしてくれる。文字を書く寸前に親指でノックをすることで、握っている指先や手のひらで順番に氷結していくイメージも体感できる。SwitchPenはそんなボールペンだ。実際に筆者のSwitchPenの氷結イメージをご覧いただければ、百聞は一見に如かずだ。

ノックすると独特の心地よい音を立てて結晶となって氷結するイメージがする……。速くノックしてもゆっくりノックしても楽しめ、見た人は全員が欲しがる

 なかなか魅力的なメカニズムだが、仕組みは見て見ると極めて簡単だ。最初のアイデアとそれを実現する素材の発見、3年に渡り作ろうとするパッションが作り上げた商品だ。もちろん簡単だからこそ素晴らしいとも言える。ペンの先端(チップ)を捩じってカートリッジを抜いて交換するか、交換せずともよ〜く見てみるとその仕組みが分かる。

ペン先(チップ)を回転させてインクカートリッジを交換する時に、その構造の一部か分かる。筆者は自己責任でインクカートリッジを交換したが、交換による故障は本体交換の対象ではないので注意が必要だ

 SwitchPenの軸には、あらかじめ三角形が多数の集まった氷結結晶イメージの凹凸が仕組まれている。そしてその上には寸法ピッタリの超薄い円筒形をしたプラスチック被膜が被されている。ボールペンで筆記しようとしてノックすると、内部の軸が押し出されて表面を覆っている薄いプラスティック被膜が、軸に刻まれたイメージを順次再現する。

 SwitchPenのウェブサイトを参照するとインクカートリッジは特別に指定されておらず、同サイトでも販売されていない。そのため、市販の同形状のタイプを使用することとなるが、市販のインクカートリッジリフィル利用による交換における故障の場合は、商品交換の保証対象にはならないとのことだ。

 またSwitchPenのウェブサイトには「カートリッジ交換の簡単な方法」が紹介されている。実際に筆者がそのページを参照して交換しようとしたところ、最初のステップ(1)に記述されている「ノック部分の内部にあるくぼみ(スロット部分)をご確認ください」とあるがその肝心の「くぼみ」”を確認できなかった。

 製品紹介では「インクカートリッジの交換は可能」としながらも、市販のリフィルの推奨モデルはなく、購入者が自ら市場で見つけることが前提の自責対象だ。加えてリフィル交換による故障は本体交換の保証対象外。そして交換方法には指定された「ノック部分内部にあるくぼみ」が見当たらないので、なかなかインクカートリッジの交換はリスクが高い。

見た人全員が惹かれる楽しいSwitchPen。ジェルインク(黒)でスムースな細字がきれいに描ける万人好みの製品だ

 インクカートリッジのDIY交換が購入ユーザーにも公認されておりインクカートリッジの品名、メーカーなどが明確に分かっていれば万人にお薦めできる極めておもしろい商品だ。しかし現状では、インクがなくなれば使い捨てるか、個人のリスクでインクカートリッジ交換のできるユーザーにのみ、おすすめすることになってしまう。今後の販売スタンスの柔軟性を望みたい逸品だ。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:CRUSHMETRIC「SwitchPen」
・購入:SwitchPen公式直販ストア
・価格:1750円(シルバータイプ1本)、2万1250円(ギャラクティックブラック Ver2.0 10本セット)

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事