最近のオートバイはとても良くできているので、カスタムの必要などない。メーカーが作っているのだから、それ以上手を入れる必要があるのかなどなど……。確かに正論ではあると思うが、ノーマルのバイクはスーツで言うなら、言わば「吊るし」。一方、カスタムされたバイクはオーダーメイドと言っても良いだろう。両者には、それくらいの差があるのだ。ただしバイクをカスタムするなら、きちんとしたカスタムパーツを選ぶ必要がある。
今回は、カスノモーターサイクルが手掛けるブランド「AELLA」を例にとり、カスタムバイクの世界を紹介する。
昭和のカスタムといえば、エンジン自体に手を入れ出力を上げる、というのが主流だった。そのためエンジンはダメージを負い、バイク自体の寿命もある程度犠牲にして楽しむものとされた。しかし、それも昔の話。現代のバイクはパワーもあって車体もしっかりしているので、パフォーマンスを上げるよりドレスアップが主流となっている。
出力に関わるチューニングと言えば、マフラーくらいなものだろう。コンピュータのデータを書き換えるROMチューンまで手を出すのは、一部のユーザーだろう。
マフラーを変えればパワーも上がるし軽量化も進む。しかもドレスアップという意味でも絶大な効果を発揮する。ステアリングやレバーなどの操作系のパーツを変えれば、ロングライドが楽になり疲労も軽減する。そう言った意味では、ドレスアップパーツもパフォーマンス向上に一役買っている部分もある。
今回、AELLAがワイバンとコラボして作成したマフラーは、その最たるものといえよう。熟練のマフラー職人が、手曲げで一本一本丁寧に作り上げている。作業工程で熱の入れられたチタンパイプは、赤系から青系になるまで美しいグラデーションを醸し出している。見た目の美しさに加え、軽量化、パワーアップと3役を兼ねている。
クランクケースカバーや、バーエンドもアルミ削り出しで作成されている。削り出す過程でミーリング(削り取るような加工)された刃の跡が、高級感と美しさを演出している。この削り出し技術も、見た目だけのためのものではない。削り出しの技術は、プレス成型など比べ物にならないほど精密だ。
たとえば、今回装着されたステアリングなどは、その角度を正確に可変させるために一役買っている。このステアリングシステムも、最適なライディングポジションを提供するためのセッティングパーツと言える。ステアリングの角度を調整し自分に合わせれば、ノーマルとは別のバイクになる。なぜならばハンドルまでの距離は、100人居れば100通りポジション違ってくるからだ。ノーマルならライダーがポジションを合わせざるを得ないが、このシステムなら自分の好みに合わせられる。そしてバックステップと組み合わせることで、よりオーダメイド的なバイクに仕上がるわけだ。
そしてAELLAならではのパーツが「オーバーサスペンション」。スイングアーム先端に取り付けることで、その性能を発揮するパーツだ。オーバーサスペンションとは、簡単に言えばマスダンパー(動吸振器)。筒状のアルミケースの中に、錘を入れサスペンションと逆方向に動かすことで振動を軽減し、スムーズな走行を手助けしてくれると言うものだ。これを付けるだけで、ギャップや路面の凹凸などのショックが軽減され、より乗り心地の良いバイクに仕上がるわけだ。
ここまでいくつか紹介したパーツは、ドレスアップと走行性能をアップさせるものだ。どれも安くはないが、より楽しいバイクライフを手助けしてくれるだろう。
たとえばハンドルとステップを変えるのは、自動車に乗った時にシート位置を合わせるのと同じことだ。自分に合ったポジションでなければ、運転しにくいし疲れる。マフラーを変えるのは排気音を好みの音に変え、見た目を良くし軽量化する。バイクを倒してしまった時に、損傷を最小限にしてくれるカバー類もドレスアップに貢献している。
気になるパーツをチョイスして、愛車をより自分に合ったものに変えていくのも、バイクの楽しみのひとつだ。バイク乗りのみなさんはぜひカスタムを検討してみてはいかがだろうか。
■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。
■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります