デジタルツインでモータースポーツの観戦が変わる!
8日、富士スピードウェイのP2駐車場でウェルパインモータースポーツ主催の「ラリーファンミーティング」が開催された。イベント自体のレポは別記事でお届けするので、本稿ではKDDIが発表したラリージャパンにおける新しい観戦体験、デジタルツインによるデモンストレーションをレポートする。
イベントではKDDIの伊藤 悟氏(パーソナル企画統括本部 プロダクト企画部 戦略グループ コアスタッフ)が登壇し、今回ラリージャパンでの取り組みを説明。デジタルツインを活用して、家にいながらにして一部のSS(スペシャルステージ、競技区間)でのウェルパイン号(GRヤリス)の走りを楽しめたり、ウェルパインモータースポーツのサービステントに梅本まどか選手がいなくても、スマホをかざせば3Dで限定メッセージが見られるというもの。
そもそもこのプロジェクトを思い立ったきっかけが、ラリーにも出場している伊藤氏の上司が「ラリーってやってる側は面白いけど、見ている側はわからないよな」と言ったことだったという。たしかにレースと比べると、観戦スタイルが大きく異なる。タイムスケジュールから自分のスケジュールを作らないといけないし、観戦できるSSは限られているし、サービスパークはクルマが出て行ってしまうと誰もいなくなってしまうので、初見の人には難しいモータースポーツなのは間違いない。
せっかく行ったのにクルマにもドライバーにもコドライバーにも会えない。そんな状態をなんとかしたくてこの企画を立ち上げたという。
また、ラリーカーは他のカテゴリーに比べると姿勢制御が大きいので、デジタルツイン上で再現したときにわかりやすいというのもあるようだ。ドリフトしたりスピンしたりジャンプしたりといった動作はすべてデジタル空間で再現される。
この試みでデジタルツインの認知度が上がってほしい
「まずはデジタルツインという技術を知ってもらいたい」と伊藤氏。まだまだデジタルツインの知名度自体の知名度が低く、たとえば「こんなことをやります」とプレゼンしても相手がちんぷんかんぷんでわかってもらえないなどの苦労があるようだ。
改めて説明すると、デジタルツインとは現実世界と対になるものをデジタル空間に構築し、モニタリングやシミュレーションを可能にする技術のこと。今年のMWCでもKDDIがデモンストレーションを展示しており、バルセロナの会場から銀座の店舗に入れるようになっていた。簡単にいうと現実をそのままデジタル空間に再現したものだ。
◆MWC Barcelona 2023で公開されたKDDIのデジタルツインデモ
バルセロナと銀座のお店をデジタルツイン上でつなぎ、お互いの位置情報をリアルタイムで把握し、お店のどこにいてどっちを向いているのかなどがわかる。さらにアバターでコミュニケーションも可能。
ラリーファンミーティング内でのデモは、まず早朝(朝6時!)からKDDIスタッフがウェルパイン号を3Dスキャンし、デモランを行なうエリアもデータに取り込んで、実際にデモランしているクルマをスマホやタブレットでどう走っているのかをモニタリングできるというものだった。タイヤの動きを再現するために、3Dスキャンするときはタイヤを外した状態で行なわれた。目の前で走っている姿とタブレット内を比べると誤差はほとんどなく、かなりリアルにクルマの動きを再現できていた。
大きなトラブルも発生せず、KDDIのスタッフの皆さんは胸をなで下ろしていた。これがラリージャパンで見られるとなると、大きな話題になりそうだ。この技術がどんどん進化していけば、ギャラリーSSじゃなくても、海外に行かなくても、WRC全戦が見られるに違いない。モータースポーツファンはもちろん、サーキットなどに行ったことがない人もレースやラリーを観戦できるようになるのではなかろうか(いろいろと超えないといけない壁はあるが)。
そして、ウェルパインモータースポーツのコドライバーを務める梅本まどか選手は、事前にグリーンバックで3Dスキャンとコメントを収録しており、ウェルパインモータースポーツのテントでQRコードを読み込むと、スマホ内に超リアルな梅本選手が登場しコメントをする、というデモンストレーションを見せた。梅本選手も360度のデータなので全面だけでなく背面や頭上や足下まで見ることができる。なお、ラリージャパンは別のメッセージになるようなので、もう一度収録するとのことなので、ラリージャパン限定メッセージを見逃さないようにしよう。
ラリージャパンは11月16~19日の4日間に渡って、愛知県豊田市のトヨタスタジアムを中心に開催される。F1とはまた違う世界選手権をぜひとも見にいってほしい。そしてウェルパインモータースポーツのサービステントに遊びにきてもらえると、監督や梅本まどか選手も喜ぶだろう。
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