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ルーペでは厳しいサイズも余裕で見える!ホーザン「L-51」

実体顕微鏡は、実物をポンと置いて気軽に拡大できるのが強みだ

2023年09月25日 18時00分更新

ホーザンの実体顕微鏡「L-51」

 細かいハンダ付けや加工といった作業では、ルーペが必須。とくにスタンド付きの物なら両手が自由になるため、拡大しつつ作業ができて便利です。視野の広さでいえば、メガネ型のものを選ぶのもアリですね。

ルーペでも十分便利ですが、倍率が低め

 とはいえ、こういったルーペでは数倍程度の拡大が限界で、さらに細かい作業や検査、確認、観察といった用途は難しくなります。とくに、面実装部品のハンダ不良、精密部品の欠けやヒビの確認をしたい、といった場合は、倍率の低さから見逃しが多くなってしまうでしょう。

 こういった用途で活躍してくれるのが、実体顕微鏡です。

拡大しながら手元で細かい作業ができるので
工作などがやりやすくなる

 実体顕微鏡は数十倍程度の倍率を持つもので、対象とレンズの間に広いスペースがあるのがポイント。横から手や工具を入れて作業できるため、工作、検査用途に最適です。雑に言ってしまえば、スタンド付きルーペの高倍率版ですね。

高倍率ながら、作業ができるスペースがあります

 ちなみに顕微鏡といえば、微生物の観察などに使う機器を想像する人が多いと思いますが、こちらは数十〜数百倍と高倍率。対象とレンズまでの距離が近いため、対象を加工し、プレパラートを作って観察することになります。

 実体顕微鏡なら、実物をポンと置いてすぐに観察できるのが強み。倍率は見劣りしますが、拡大しながら作業できるのは、実体顕微鏡ならではです。

 当然、高価な機器となりますが、手頃な価格の製品もあります。そんな実体顕微鏡のひとつ、ホーザンの「L-51」(直販価格6万3140円)をお借りし、試してみました。

接眼レンズは10x
対物レンズは1xと2xの切り替え

 高価な実体顕微鏡では、対物レンズが0.7x〜5x前後の光学ズームとなっていることが多いのですが、これを1x/2xの固定切り替えにすることで、低価格化を実現しているのがL-51の特徴。この切り替え固定倍率の対物レンズに10xの接眼レンズを組み合わせることで、総合倍率10x/20xを実現しています。

対物レンズは1xと2xの固定。回転させることで切り替えられます

 接眼レンズはWF10X。高視野角タイプで、メガネをかけたままでも観察できるよう、接眼レンズから少し離れた位置で見えるように調整されたものが付属します。

 ちなみに別売となりますが、20xの接眼レンズも使用可能。こちらを購入すれば、総合倍率は20x/40xとなります。

メガネを接眼レンズにぶつけない距離から観察可能

 基本的な使い方は、まず、ベースに観察対象を設置。続いて、ホルダー固定ノブを緩めて上下に動かし、ザックリとピントを合わせて固定します。その後、焦点調整ノブを回して微調整し、ピントをしっかり合わせるといった手順です。

写真中央の焦点調整ノブば微調整用なので、最後に操作

 左右でピントがずれる場合は、接眼レンズの下にある視度調整リングで合わせます。また、接眼レンズ間の幅も調整できるので、見やすい位置になるよう動かすといいでしょう。

 ベースは、観察対象をクリップで固定する方法と、導電性カラーマットを敷く方法の2通りで利用できます。

 クリップは対象を固定しやすいほか、円形のステージが取り外せるため、長物・大物の観察にも使えるというのがメリット。導電性カラーマットは静電気対策ができるだけでなく、多少の弾力性があり、対象が傷つきにくいというメリットがあります。電子工作や精密機器のメンテナンスなどで使う場合は、導電性カラーマットの方が向いてそうです。

 ちなみに、導電性カラーマットはアース線接続用のホックがあります。ここに付属のアース線を接続し、アースを取りましょう。

クリップで簡易的に固定できます

導電性カラーマットは、アース線用のホック付き

 別売のオプションとなりますが、あると便利なのが「L-711 LEDライト」。レンズの周囲をぐるっと一周LEDが照らしてくれるため、影がジャマにならず観察しやすくなります。

 また、さらに別売の「L-711-1 拡散フィルター」や「L-711-2 偏光フィルター」を合わせて使えば、LEDの映り込みや乱反射などが抑えられ見やすくなるので、こちらもオススメです。

LEDライトがあると、影が消えて見やすくなります

写真や動画を撮りたいという衝動に駆られたら
USBカメラの追加で撮影できる!

 実体顕微鏡で観察していると、そのまま写真を撮りたい、動画に残したい、大画面に表示したいといった欲が出てきます。

 こうしたときに活用したいのが、別売のUSBカメラ。300万画素の「L-837」でも3万2340円、500万画素の「L-836」だと5万6650円と高価なのでなかなか購入に踏み切れませんが、こういった使い方もできる、ということで紹介しておきます。

 ちなみにこのカメラは実体顕微鏡に直接繋げられず、顕微鏡アダプター「L-845」(直販価格9240円)が必要となります。

USBカメラのL-836と、アダプターセットのL-845

 使い方はわかりやすく、アダプターを装着したUSBカメラを接眼レンズの代わりに挿し込むだけ。あとはPCと接続し、専用ソフトを起動すれば使えます。

Windows用のCamPlusと、ブラウザー上で動くCamBrowser

 なお、カメラはUVC対応なので、専用ソフトだけでなく汎用のカメラソフトでも撮影が可能。接続さえできれば、Androidなどのタブレットでも撮影が可能です。大きな画面を見ながら作業したい、といった場合は、こういったタブレットを活用するといいでしょう。

UVC対応のカメラアプリを使えば、タブレットに表示可能

 多少の遅延があるので工作だと慣れが必要ですが、検査や確認といった作業であれば十分です。

強いて言えばオプションが魅力的すぎて
困ってしまうのが問題か

 L-51は、しっかりとした支柱のあるベース、鏡筒、ホルダー、そして接眼レンズまでセットになっており、とりあえずこれを購入しておけば使える、という手軽でわかりやすいのがいいところ。しかも、直販価格6万3140円と、実体顕微鏡としては安めです。

 問題があるとすれば、LEDライトやUSBカメラといったオプションが魅力的で、次々欲しくなってしまうことでしょうか。最初から揃えると痛い出費になるので、使う頻度に応じて後から追加していく方向で検討しましょう。

 ちなみに筆者はL-51ではないですが実体顕微鏡を所持しており、鉱物標本の観察や撮影、懐中時計の分解や組み立てなどに利用しています。つい最近は、指に刺さっていた小さなトゲを抜く際に活躍してくれました。

 一般的な工具と比べるとかなり特殊ですが、安定して数十倍に拡大できるというのは思っている以上に便利。量販店で安く購入できる場合もあるので、使うシーンを思いつくのであれば、手元にあって損はないですよ。

●お気に入りポイント●

・実体顕微鏡としてはお手頃価格

・倍率が高くても明るく見える

・オプションでUSBカメラあり!

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この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

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