本連載では、ASCII.jpに掲載されたAI関連記事を中心に紹介、最近のAI事情を俯瞰していく。今回は9月上旬(9月1日から15日)の主なニュースを振り返ってみよう。
米国、NVIDIAのAI半導体輸出規制を強化 中国、ロシアに続いて中東も(9月1日)
生成AIの学習に使うサーバーでは、事実上「NVIDIAのGPUを使う」ことがスタンダードになっている。戦略物資そのものなので、アメリカを中心とした陣営に対立する国々へは輸出規制が強化される傾向にある。
前回も解説したが、NVIDIAのGPUがAIで使われるのは、プロセッサーの構造がAIに最適であるからではない。AI「だけ」に最適化するならもっと向いた構造がある。しかし、開発環境である「CUDA」があるところがカギだ。CUDAを使ってソフトウエアを書くのがスタンダードであり、CUDA向けのノウハウとソフトウエア資産を使うなら、NVIDIAのGPUを選ぶ必要がある。
NVIDIAのGPUが手に入らないということは、単に演算力が手に入らないだけでなく、その上で進んでいるソフト開発ノウハウから置いていかれることでもあるのだ。
KDDI、生成系AIの社会実装の加速に向けたAWSとの連携を発表(9月1日)
国内大手企業は相次いで生成AI関連企業との提携を進めているが、KDDIはAWSとも密な連携をとる。
AWSは今年春以降、生成AI向けインフラのビジネス展開を全力で推し進めている。一方で、KDDIとAWSの関係は以前から密であり、エッジAIの実装でもAWSと連携している。そう考えれば、この提携は当然の流れでもある。
X、「ユーザーの公開データをAIトレーニングに使用」ポリシー改定(9月4日)
生成AIの学習に使うデータは貴重なものだ。X(Twitter)のデータは、生成AI登場以前からさまざまな形で使われており、そのライセンシングは旧Twitter時代から重要な収益源だった。
その延長線上にある施策なので特に目新しい話ではないが、イーロン・マスクがAI開発企業「xAI」を持っており、そこでの利用が軸と考えればさらにわかりやすい流れと言える。
OpenAI、初の開発者会議を11月6日に開催 オンライン配信もあり(9月7日)
プラットフォームとしてのOpenAIの存在感は急速に増しているが、そのことを考えれば遅いくらいの展開ではある。
11月6日になにが発表されるのか、注目しておきたい。
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