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固定回線セットの割引後の料金が“大きい”のは、やはり微妙

2023年09月09日 12時00分更新

 Y!mobileが10月以降に開始予定の新料金プラン「シンプル2 S/M/L」を発表し、ネット上では「実質値下げ」「いや値上げ」「他社よりシンプル」「割引の条件が厳しい」と、さまざまな意見が見られました。

各社サイトの料金ページをチェック
固定回線セットの割引適用後の料金を大きく表示

 Y!mobileの新料金の細かな部分については、より詳しい記事に任せるとして、ネット上でネガな反応も見られるのは、「基本料金はアップ」、ただし「固定回線セットの割引も増額」することで、従来プランと近い金額を実現しているからでしょう(通信量も増量されているので、割引前でも実は単純に値上げとは言えないのですが)。

Y!mobileの新料金についての詳しい内容を知りたいなら

Y!mobileの新料金プランでは、通信量と料金に加え、割引条件も変わる。ライバルとなるUQやirumoとも比較して、その内容を詳しく見た。

ソフトバンクのサブブランド「ワイモバイル」が好調だ。その理由は徹底的に「シンプル」にこだわっているからだろう。

 もっとも、この「固定回線セットの割引」適用後の料金を積極的にアピールしているのは、Y!mobileだけの話ではありません。というか、MNO3社+サブブランド(ドコモ「irumo」を含む)の主力プランすべてで当てはまります(ahamo/povo/LINEMOのオンライン専用プラン、UQ mobile「コミコミプラン」は固定回線セットの割引はなし)。以下は、各社の料金紹介ページを開いたところです。青枠が本来の料金、赤枠が割引後の料金、緑枠が割引の条件になります。

固定回線セット

ドコモ「eximo」

固定回線セット

au「使い放題MAX 5G/4G」

固定回線セット

ソフトバンク「メリハリ無制限」

固定回線セット

ドコモ「irumo」

固定回線セット

UQ mobile「トクトクプラン」

固定回線セット

Y!mobile「シンプル S/M/L」

 これを見てもらえればわかるように、すべての例で割引前より割引後のフォントサイズが大きくなっています(実は、開始前の予告となっている「シンプル2 S/M/L」だけはフォントサイズは同じです)。もちろん割引前の料金もしっかり示しているとは言え、割引後の料金をより目立たせていることは間違いないと思います。

固定回線セット

Y!mobile「シンプル2 S/M/L」は、現時点では割引前と割引後は同じ

集合住宅では固定回線は選択の余地がないことも多い
セット割引自体が悪いわけではないのだが……

 今回、固定回線セットの割引を取り上げるのは、日本の住環境、特に集合住宅に住んでいる場合、選択の余地がない人が多いからです。

 筆者のアパートがまさにそうなのですが、光回線は「auひかり マンションタイプ」の一択(ちなみにアスキースマホ総研のスピーディー末岡も同じとか)。auやUQ mobileの割引は受けられますが、ドコモ/ソフトバンクの割引は対象外です。また、固定回線セットは、ドコモ「home 5G」やUQ WiMAX、SoftBank Airといったモバイル回線を利用したサービスでも対象ですが、普通に安定して使える光回線があるのに、これらを追加で契約する理由は特にありません。

 もちろん固定回線セットの割引自体を否定するわけではないのです。「複数買ったら値引き」は、あらゆる商取引で一般的なことですから。でも、少なくないユーザーがそもそもその選択ができないのにも関わらず、固定回線セットの割引後の料金を各社が前面に押し出すのは、やはり“微妙”というほかないと思うのです。あくまで通常料金あっての割引料金のはずです。

 キャリア各社のこうした料金の伝え方にはネット上でも意見はいろいろあり、「国が対応すべきだ」という声も見られますが、なにかと行政に頼るのは、個人的には常に適切なやり方とは限らないという考えです。ただ、「こういうのは微妙だ」とは今後も積極的に伝えていきたいとは思っています。

筆者紹介──岡本善隆

ドコモ新料金

アスキースマホ総研のリーダーとしても活動。ASCII.jpのスマホ担当として、日々取材や記事執筆を行なっているが、いわゆる「格安SIM」「格安スマホ」の登場以降はMVNOやサブブランド、ミドルクラスのスマートフォンなど、コストパフォーマンスに優れたサービスや製品を特に詳しくウォッチするようになっている。

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