ニューヨークで一風変わった「ReWATCH」に一目惚れ
2030年までに達成すべき世界が共通に掲げるSDGsの17目標のうち、リサイクルが関係するのは12番の「つくる責任 つかう責任」が該当している。しかし、リサイクル運動なんて言葉はSDGsに組み込まれるはるか昔から存在していた。日本での初登場は、約50年前に起こったオイルショック直後の1974年頃だろう。
リサイクルの目的は、資源の循環的利用(リサイクル)によって限りある地球上の天然資源の消費を可能な限り抑制し、廃棄目的の埋立処分の絶対量を減らし環境への負荷をできるかぎり軽減することだと、2000年に公布された循環型社会形成推進基本法で規定されている。
そんなリサイクルの目的にのっとった再生腕時計の「ReWATCH」が、1997年〜2002年頃に世界中でブームを引き起こした。ちょうど今から25年前の1998年に、ニューヨークにいた筆者は宿泊していたホテルの雑貨店で、コカ・コーラのアルミ缶をプレス機で潰して固めたベゼルにクルマのシート素材をリサイクル活用したバンドを組み合わせた「ReWATCH」(リウオッチ)という風変わりな腕時計を衝動買いした。
ReWATCHには、スイスの著名なテクノポップユニット「Yello」のメンバーでもあり、腕時計に造詣の深いディーター・メイヤーが設立に関わっていたらしい。スイスのリサイクル特許を取得したReWATCHは、一般的には片腕に1本が当たり前の腕時計を、筆者が腕の数以上に多数集めるきっかけになった記念碑的腕時計でもある。
そんな愛用腕時計だったにも関わらず、その後に衝動買いした多くの腕時計や引っ越しに紛れてしまい今ではどこにいったのか全く不明だ。久々にReWATCHをネットで検索してみたら、なんと国内外のオークションサイトやフリマサイトで多数発見した。
そんな中で一番多く見かけたのは「2001 SPACE TOURS PEPSI OFFICIAL WATCH」(以降、PEPSI ReWATCH)と題し、「当選者を宇宙に連れて行く」という一大キャンペーン用の景品として採用されたReWATCHだった。
フリマやオークションへの出品者は、ReWATCHの価値が分かっているのかいないのかは別にして、筆者が見た時の価格は1000円以下から数万円前後と幅広い。単に「2001 SPACE TOURS PEPSI OFFICIAL WATCH」というお題目を勘違いして高値を付けているオーナーもいる感じだった。
そんな中、実は一番安かった1個を949円で衝動買いした。早速送られてきたPEPSI ReWATCHは経年劣化で外装の紙パッケージとアルミ缶に多少のダメージとサビは見られるが、当時の保証書も付属し腕時計本体はバンドも含めて新品当時のきれいな状態を保った逸品だった。
ペーパーパッケージの表面には、宇宙を飛ぶ当時のデザインのペプシ缶とおそらくアポロ計画をイメージしてデザインされた地球(PEPSI)と、月の間を8の字を描いて飛ぶスペースシャトル(宇宙船)のシルエットがデザインされている。
そして背面にはReWATCHがスイス製であることと、その証の大きな十字アイコン。PEPSI ReWATCHのスペックであるスイス国で取得したリサイクル番号やベゼルがリサイクルペプシであること、バンドがクルマのシートから再製造したリサイクル革であることが記述されている。
当時のReWATCHは、素材がペプシコーラであれコカ・コーラやバドワイザーであれ、プレス機で一瞬で潰してベゼルのカタチに押し固めてしまう方式だ。なのでそのプレス工程の微妙なタイミングやアルミ缶の配置ひとつで、同じ柄のReWATCHが確率的に絶対にでき上がらないのがこのReWATCHの特徴だった。
今回のPEPSI ReWATCHの個体をキッチンはかりで重さを測ってみたところ約25g。一般的なステンレス製バンドの腕時計の6分の1くらいの重量だ。内容物のないアルミ缶1個の重量は平均約15gらしいので、ReWATCHのベゼルに15g全部なのかその一部分なのかどの程度の量が使われているのか、なかなか興味深い。
基本的にReWATCHの駆動には、スイス製のRENATA 377ボタン電池(SR626SW互換)が使用されている。しかし1997年〜2002年頃の年代によって、Swatchのように背面に樹脂製のバッテリーカバーだけが露出しているタイプと背面全面が金属フタで覆われている普通の腕時計のような2種類があるようだ。
入手したPEPSI ReWATCHは、前者のSwatchタイプだった。早速、互換のSR626SW電池を入れ替えてみたところ快調に動作しだした。しかし1日で停止。どうもバッテリーが放電しているらしい。ネット通販で安い国産ブランドのボタン電池をまとめ買いすると、当初から既定の電圧を出力できない不良品が混じっていることがありそうだった。ここは注意が必要だ。
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