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「とりあえず防災」の実態も明らかに

JA共済連、「防災」に関する意識と実態の調査を実施

2023年09月05日 12時00分更新

 JA共済連は日本最大級の防災イベント「ぼうさいこくたい2023」の出展を機に、全国の10代~70代の男女960人を対象に、防災に関する意識と実態の調査を実施した。

 結果としては自然災害で不安に思うもの1位「地震」(88.6%)。80.6%が「数年以内に大きな地震が来そう」と予想しながらも、4人に1人は「防災の日があることも知らない」ということが分かった。

 防災対策を実践しているが、自分の防災対策に自信があると答えた人も少数で、「とりあえず防災」の実態が浮き彫りになっているという現状だ。

 地震大国日本と言われるほど、日常的に起きる地震だが、災害への備えはやはり必要だ。JA共済連が調査したデータを振り返りつつ、防災意識を高めていきたい。

防災に関する意識と実態調査

 上述した通り、今回の調査は10代~70代の男女960人を対象に実施された。

 まず自然災害について不安に思うものを聞くと、「地震」が88.6%とトップで、次いで「台風」(64.3%)、「火災」(63.2%)の順となった。

 数年以内の大きな地震の可能性を聞くと、80.6%が「大きな地震が来そう」と 回答している。

 一方で小規模の地震が多いことによる「地震慣れ」を感じている人も64.8%いることが判明。地震を不安に思いつつも、多発することで慣れてしまうという負の実態も明らかになっている。

 だが実際問題、筆者も震度3ほどでは「揺れているな」程度にしか思わなくなってしまっている現状もある。

 地震の「揺れよりも緊急地震速報の音が怖いと感じる」(62.0%)と答えた人も多く、女性は68.1%と男性(55.8%)より多くなっているのが現状だ。

「防災の日」に対しての認知度は低い

 また本調査では「防災の日」の認知度についても調査。「防災の日」は、今から100年前、1923年9月1日に起きた関東大震災にちなみ、1960(昭和35)年に制定されたものである。

 しかし「防災の日」について知っているかと聞くと、23.0%と4人に1人は「防災の日 があることも知らない」と答えている。

  さらに100年前の関東大震災について聞くと、「詳しく知っている」のは15.6%、阪神・淡路大震災についても、「詳しく知っている」のは43.5%で、56.5%は詳しくは知らないということが判明。時間の経過とともに、震災に関する記憶の風化しているのが分かる。

 「風化していく」=「危機意識が減っていく」ではないとは思いたいが、たとえば東日本大震災を経験していない世代は地震等の災害に対して、危機意識が低くなるのは当然のことかもしれない。

 災害リスクアドバイザー・松島康生さんは地震慣れの理由の1つについてTVやインターネットなどによる情報量の多さを上げている。「災害に関する情報が次々と飛び込んでくると、最初は緊張感を持ったとしても、だんだん災害情報に慣れてしまう。特に自分の生活圏ではない遠隔地で起こった災害は、画面の向こう側の出来事となり、自分ごと化できなくなる」とコメントしている。

防災に関しては対策をしているものの「自信がない」?

 防災対策を実施したことがあるかと聞くと、85.8%が「何らか行った」と回答。しかし、内容は「ハザードマップの確認」(39.6%)や「非常用飲料水の備蓄」(35.8%)で、実践率は4割に届かなかったという。

 自宅の防災対策に対する満足度も調査したところ、家の中に地震が起きても安全な場所を「確保している」と答えたのは29.6%で、自宅の防災対策は「十分である」と答えたのは18.8%にとどまっている。

 さらに自分自身の防災対策について聞くと、8割が自分の防災対策が本当に役立つか「不安」(80.2%)を感じており、自分の防災対策に「自信がある」と答えた人は14.3%しかいないという結果となった。

 このような結果からも地震慣れに起因した「とりあえず防災」の実態が明らかになっていると考えられるだろう。

 以上のように防災対策に対して、ネガティブな回答をしている人が多い一方で、防災対策や防災の学びについて聞くと、8割が「もう一歩進んだ防災対策をしたい」(80.1%)、「子どもに防災について知ってもらいたい」(79.1%)と答えている。

 実際に大地震の揺れを体験して学べる場に参加してみたいかと聞くと、高校生・大学生(高専生・専門学生・大学院生・短大生含む)のうち6割が「参加したい」(60.2%)と回答している。

 災害リスクアドバイザー・松島康生さんは防災のために、「とりあえず」ではなくどんな対策をすればいいのかについて「地域の災害リスクと家族構成から、何が必要かを洗い出すこと。地域の災害リスクとは、自分が暮らす地域にどんな災害危機があるのかを知ることです」とコメントしている。

 そうすることで「自治体から出ているハザードマップを見て、自宅周辺が避難が必要なエリアなら、避難先へ持っていく避難用品(軽量でコンパクトなもの)を準備できる。逆に、直ちに避難をしなくてよさそうなエリアであれば、自宅でしばらく生活するための備蓄品(食品・生活用品など)をそろえる」といった対策ができるとしている。

防災イベントに積極的に参加を!

 本調査を実施したJA共済連は9月17日・18日に横浜国立大学で開催される日本最大級の防災イベント「ぼうさいこくたい2023」に出展する。

 JA共済連は同イベント内で「ザブトン教授の防災教室」を実施。イス型の地震動体験装置「地震ザブトン」により、東日本大震災や阪神・淡路大震災など、過去に発生した大地震の揺れを体験することができるという。

 実際の地震の揺れを体験することで、地震の実相や家具の固定など日頃から「備える」ことの必要性を伝えるとしている。

 筆者もこの「日頃から備える」というのが防災対策にとって一番重要なことだと思う。地震などは、いつ・どこで起きるという未来予測ができない、だからこそ「常日頃から」防災の準備・意識をしておかなければならないのだろう。

 そうした日ごろから防災意識をもっている人はもちろん、防災対策について自信のない人、とりあえず防災をしている人などはぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

ぼうさいこくたい2023
開催日:9月17日・18日
時間 :17日 10時~18時、18日 10時~15時30分
会場 :YNU(横浜国立大学)
入場・参加無料

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