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2次元美少女、わずか数秒で3Dに

画像生成AI、3Dホログラムにも革命起こす?

2023年08月28日 07時00分更新

ネックはハードウェアの価格、大型になるほど高コストに

 Looking Glassの技術は、様々な使い道が模索されています。裸眼立体視のメリットは、VRゴーグルなどの専用ハードを使わなくとも立体的な映像を誰もが同時に見ることができる点です。SIGGRAPHのNVIDIAブースではビデオ通話向けの技術として提供していました。背景を削除してDepthを整理し、座るとアバターとしゃべれますよという内容です。順当なアップデートですが、なかなか広がっていないのが実情です。

NVIDIAの「AIを介した3Dビデオ会議」というSIGGRAPH2023の論文より。32インチのLooking Glassを使って、立体視で表示される相手と会話ができるというもの

 ただし、最大の弱点は、本格的に産業利用しようとするとハードの価格がネックになってしまうことです。Looking Glassのレンチキュラーレンズは層を何枚も重ねてディスプレーを作っていく方式なのですが、特性上コストを下げることが難しく、大型化しようとするとコストが非常に上がります。Looking Glassには32インチ版と64インチ版も存在しますが、32インチ版の価格は2万ドル(約290万円)で、64インチは未公表。本格的なモニターとして使える普及機をなかなかリリースできないという状態です。

Looking Glass Portraitの公式ページ

 とはいえ、立体視の可能性をお手軽に楽しむには、環境が整ってきており、特に画像生成AIとの組み合わせにはとても向いているハードです。VRゴーグルとはまた違った魅力があるガジェット好き心をくすぐるハードには違いありません。現在、Blocksのリリースに合わせてLooking Glass Portraitは日本とアメリカだけの期間限定で100ドル値下げされ、299ドルで販売されています。もう少しその魅力が知られるといいんだけどなあ……と思っています。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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