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『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる』を読む

「ダサい営業資料しか作れない」と悩んでいるすべてのビジネスパーソンにお伝えしたい。デザイナーの“視点”を知るだけでヤバいくらい結果が変わります

2023年08月25日 07時00分更新

 「一生懸命作ったパワポ資料が、なぜかダサい」「いい企画を思いついたのに、デザインが微妙で伝わらない」日々の仕事を行う中でこのような悩みを抱えている方は少なくありません。

 資料のデザインによって、見た人が受ける印象や内容の理解度は大きく変わります。資料を見やすく、センスよくデザインする力は、すべてのビジネスパーソンに必須のスキルだと言えるでしょう。

 生まれ持ったセンスがなくても、デザインの勉強をしたことがなくても、イケてる資料を作る方法はないのか?——その答えは、2023年8月に刊行された『デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる(デザイン研究所/KADOKAWA)』に記されています。

Image from Amazon.co.jp
デザインのミカタ 無限の「ひきだし」と「センス」を手に入れる

プロの目は景色をどう見ているのか

 著者によると、身の回りにあるすべてのものをデザインのトレーニング対象として捉え、思考を巡らせることが重要なのだとか。「見る力」と見たものを自分の言葉で「言語化する力」を鍛えることで、実践の場で生かせるようになるそうです。

 プロのデザイナーが素人と違うところは、1つの景色からたくさんの情報を読み取り、分析している点にあります。

 例えば、あなたが仕事終わりに繁華街へ出かけたとき、ネオンに彩られた夜の街を見てどのように感じるでしょうか。デザイナーでない普通の人はおそらく「眩しいなあ」だとか、「今日はどの店で飲もうかなあ」だとか、ぼんやり景色を眺めていることが多いでしょう。

 一方でプロのデザイナーは、1つの視覚情報からさまざまな想像を膨らませています。

 一見ただの風景として見落としてしまいそうな飲食店の看板やネオンをデザインとして捉え、「数字の色が赤色になっている」「焼き肉の看板の色も赤い」など風景を構成する具体的な要素をいくつも発見しています。次に、各要素に込められた意図や受ける印象を自分なりに深掘り。そして、「安っぽい印象を与えるから、安さを訴求したいとき以外は避ける」という具合に、実践の場で使える法則に落とし込んでいます。

 上記左右の画像を見比べてみると、普通の人と比較して、デザイナーの着眼点の多さや解釈の多様性に驚かされます。どうやら、デザインセンスはたくさんのデザインを見て、その形・色・配置になっている理由を「なぜ?」と考えてみることで鍛えられそうです。

 では、今度は会社のエレベーターに乗り込んだときの景色を思い返してみましょう。

 エレベーターの中は先ほどの繁華街に比べて視覚情報が少ないように思えますが、デザイナー視点だとここにもたくさんの要素が隠されています。「低い階のボタンが左側にあるのはなぜだろう?目線の動きに関係があるのかな」「横の余白が広い理由は?隣り合ったボタンは押し間違いしやすいのかも」など、自分の知識や調べた情報と照らし合わせながら考察できるはずです。

 こんな風に日常にあふれるデザインを読み解いていけば、センスを手に入れられるだけでなく、「ネオンが眩しいなあ」「エレベーターの沈黙が気まずい」といったネガティブな気持ちもポジティブな気分に変えていけるのではないでしょうか。“デザイナーの目”を手に入れることで、ありふれた景色が刺激的な世界に変わり、より豊かな人生になっていきそうです。

 本書には他にも、デザイナーの視点を解説したデザイン事例が100種類以上収録されています。一冊読み終わる頃には前よりもオシャレな資料を作れるようになっているでしょう。仕事や日常で役立つデザインのテクニックを手に入れたいすべての人におすすめしたい、唯一無二のデザイン本です。

 
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