印南敦史の「ベストセラーを読む」
第1回
『コンビニオーナーぎりぎり日記』(仁科充乃/著)を読む
「休日が取れなくなって1057日目」ぎりぎりのコンビニオーナーが、それでもコンビニを経営してよかったと思えた瞬間
20代前半のころ、アルバイトをしていたコンビニエンスストアのオーナーから「正社員にならないか?」と声をかけられたことがあった。提示された給料は当時として悪くなく、しかも店長になってほしいとのことだった。
まあ、悪くない話ではあったのだ。
しかしそのころはまだ学生気分が抜けきれておらず、“自分探し”という無責任な旅の途中だったのである(要するに、もうちょっとフラフラしていたかったということだ)。そのためお断りしたのだが、もしもあのときOKしていたら、その後の自分の人生はどう変わっていたのだろう? いまでもときどき、そんなことを考える。
つねに人が足りない状況だったから、きっと、休めない日々が続くことになったのだろうな。それはそれで、よい人生経験になったのかもしれないけれど。
という話はともかく、さまざまな業界に生きる人たちの実像を描いた日記シリーズの最新刊『コンビニオーナーぎりぎり日記』(仁科充乃 著、三五館シンシャ/フォレスト出版)の著者もまた、思うように休めないようだ。
なにしろ、「休日が取れなくなって、今日で1057日目。もう3年近く、1日も休んでいない」というのである。
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コンビニオーナーぎりぎり日記 (汗と涙のドキュメント日記シリーズ) |
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