受講度合いとICTスキルに相関関係が
小中学生の80%が出席済の「情報モラル授業」とは? リテラシーが高まる効果あり!?
■小中学生はネットのルールやマナーを授業で学ぶ
ICT教育も進み、インターネットを使う上でのルールやマナーを学ぶ「情報モラル授業」を実施する学校が増えているようだが、実際はどうなのか。小中学生とその保護者を対象としたNTTドコモ モバイル社会研究所の「2022年親と子の調査」を見てみよう。
学校で情報モラル授業を受けたか聞いたところ、小学校低学年では64%だったが、小学校高学年で90%、中学生では93%が「ある」と回答している。現代の小中学生は、ほとんどの子どもが情報モラル授業を受けているのだ。
■受講することでルールの理解度も高まっている
さらに、情報モラル授業の受講度合いと「インターネットでやってはいけないこと、気を付けなければいけないこと」が理解できているかの相関関係を調べたところ、明らかな相関関係が見られた。ある程度受講していれば、児童生徒も理解できている割合が高くなっていたのだ。
情報モラル授業の受講度合いとICTスキルにも相関関係があり、受講度合いが高いほど、「スマートフォンやタブレットを、他人が使えないように設定できる」の割合も高くなっていた。
筆者も全国の小中高校大学で情報モラルに関する講演を多数実施しているが、児童生徒学生たちに直接伝えられる意義を感じている。テレビや新聞などで報じていても、興味関心がなければ見ないことも多く、そのような子には学校などで直接話すことによって初めて伝えられる。知れば警戒心が生まれ、注意しようという気持ちにもなる。
受講した生徒や学生が、「自分の使い方について考え直すきっかけになった」「家に帰ったら家族と使い方のルールを話し合おうと思う」などと述べていることは多く、使い方を考え直したり、ルールを決めるきっかけともなっているようだ。実際、講演後に講演前と比べてトラブルが減っていると聞いている。
リスクやトラブルも多岐にわたるようになっている。子どもたちのリテラシーを高めるために、子どもたちが情報モラル授業を受ける機会を設けることが大切だ。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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