東日本旅客鉄道(JR東日本)、東京モノレール、東京臨海高速鉄道、PASMO協議会の4者は7月31日、持ち主の氏名が記載された記名式「Suica」「PASMO」について、プラスチック製カードの新規販売を一時中止すると発表した。期間は8月2日から当面の間とされており、終了時期は未定。世界的な半導体不足により、今後のカード製造計画が不透明となっていることが原因だ。
以前、「半導体不足で無記名版Suica/PASMO、新規発行一時停止へ ユーザーにできる対策は?」と題して紹介した通り、Suica・PASMOは2023年6月にも同様の理由で無記名式プラスチック製カードの新規販売を中止しており、約2ヵ月《記:注》で販売中止の範囲をさらに拡大した格好となる。
定期券など一部のカードを除いてほぼ購入不可能に
8月2日から新規販売が中止されるのは以下の4種類。
- 記名式Suica(青森・盛岡・秋田エリアを除く)
- 記名式「モノレールSuica」
- 記名式「りんかいSuica」
- 記名式「PASMO」
定期券や障がい者用カード、小児用カードの新規購入、発行済みカードの障害や紛失による再発行については、これまで通り対応する。PASMOについては「PASMO企画乗車券」「バスの持参人式PASMO定期券」等、一部の無記名式カードの新規購入も可能だ。
該当エリアは首都圏、仙台、新潟の3エリア12都県。5月下旬にSuicaエリアかされた青森、盛岡、秋田エリアについては対象外とされ、販売を継続する。
なお、プラスチック製カードを必要としない「モバイルSuica・PASMO」に関しては、新規購入に制限はない。
訪日外国人向けカードについては対応がわかれる
SuicaとPASMOにはそれぞれ訪日外国人向けのカードも用意されているが、こちらは両者で対応がわかれている。
JR東日本の訪日外国人向けカード「Welcome Suica」は、8月2日以降、都内主要駅での販売を取りやめ、取り扱い箇所を羽田および成田空港に縮小。販売枚数も1人1枚に制限する。原因は記名式カードと同じく、半導体不足によるものだ。
2023年に入り、日本を訪れる外国人観光客は増加傾向にある。今後の状況次第では、需要に対してカードの供給が追いつかなくなる可能性も否定はできないだろう。
一方、PASMOの訪日外国人向けカード「PASMO PASSPORT」については、羽田と成田の両空港のほか、首都圏主要駅での販売も継続。これまで通り購入時にパスポートの提示は必要だが、Welcome Suicaのような明確な販売枚数制限はしていない。
モバイルSuica・PASMOの利用も呼びかけ
JR東日本など4者はユーザーに対して、モバイルSuica・PASMOの利用や発行済みプラスチック製カードの継続使用を呼びかけている。
後者については定期券や企画乗車券としての有効期限が切れた後も、残高をチャージすることで記名式や無記名式カードとして使うことが可能だ。
駅の窓口などで依頼すれば、券面の印字(定期券区間の表示など)を消すこともできる。多少消し残りが出てしまうこともあるが、券面を綺麗にして再利用したいユーザーは試してみると良いだろう。
なお、JR東海の「TOICA」やJR西日本の「ICOCA」など、Suica・PASMO以外の交通系ICカードについては、8月1日現在、販売中止などは発表されていない。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります