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開発はオープンに、活用はローカルに

生成AI、無償提供の「Llama 2」「SDXL」が話題(西田宗千佳)

2023年08月03日 07時00分更新

7月後半のまとめ:「ルールある活用」と「自由」の間で

 今回の話題は、オープンモデル(に近い)「Llama 2」や「SDXL」が公開されたことだろう。研究・活用を進め、進化を加速するにはオープンモデルの方が有利であるのは間違いない。

 一方で、生成AIの面倒なところは、そこで生み出したものをどう活用するかという点について、慎重な対応が求められる部分があることだ。マイクロソフト+OpenAIが、企業・組織内に閉じたサービス導入でマネタイズを進めるのも、利用ルールと利便性、そして収益性の面で、今は「閉じたサービスの方が有利」であるからだろう。

 他方で当然コンシューマにも広く使われていくし、開かれたサービスも増える。するとそこには、政府も絡んだ規制議論が出てくる。日本はG7広島サミットにも絡み、関係国との間で「広島AIプロセス」という枠組みの提案を進めている。こちらは年内にはまとまる見通しだが、アメリカやヨーロッパの議論も、この話と無関係ではない。ただし、どこの国もイニシアチブをとりたがっており、綱引きが続きそうだ。

 規制を考えてローカルで動かす、という動きもここからは活性化してくる可能性があり、だとすると、LLMのコンパクト化が注目されてくることになるだろう。

 

筆者紹介――西田 宗千佳

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、書籍も多数執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略」(SBクリエイティブ)、「ネットフリックスの時代」(講談社)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)などがある。

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