プライバシー重視スマホは過去に失敗例も
環境に配慮する人とプライバシーに配慮する人が重なるだろうという読みは納得がいく。しかし、実際の問題はそれがどのぐらいのボリュームかだ。
オランダ滞在中にFairphoneに取材を申し込んだが、時期が時期だったのか(米国ローンチと重なったり、直前にCEOのEva Gouwens氏が退任を発表した)、「日本市場で展開していないので」という理由で断られた。Fairphone側から、なぜ米国市場展開にあたってMurenaの/e/OS搭載機種なのかの意見を聞くことはできなかったが、Duval氏にコメントを求めたところ、「欧州だけでなく、米国でも倫理的なIT製品をのぞむコンシューマーは増えている。よりサステナブルで、プライバシーが守られた製品を好むというトレンドを感じている」と語った。
もっともプライバシー+スマホの試み自体は以前からあるのだ。米国のSilent Circleの「Blackphone」などをASCII.jpでも紹介してきた(「PGP開発者も加わった秘密重視のスマホ「Blackphone」がMWC登場へ」)。
Fairphoneのモジュラー性や修理性も、アップルがユーザー自身で修理をする「Self Service Repair」の提供に踏み切るなど、必ずしも新奇なコンセプトではない(どのぐらいのユーザーが実際に使っているのかは別として)。市場が受け入れる準備は、アメリカでも整いつつあるという読みだろう。
いずれにしてもMureno Fairphoneの米国での動向に注目したい。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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