Meteor LakeのE-Coreに実装成功
配線層が簡潔になり配線抵抗の削減にも効果あり
実際のIntel 4におけるPowerViaの構造の詳細が下の画像である。
トランジスタに関しては「基本」PowerViaの有無は関係ない。「基本」というのは左の図を見てもらうとわかるが、トランジスタを上下から挟み込むようにDeep Viaというブロックが追加されている。またIntel 4は3 Fin構造でセルライブラリーを構成しているのに対し、Intel 4+Power Viaでは2 Finでの構成になっている。
今回はおそらくE-Coreのみでの実装なので、高速向けの3Finではなく高効率向けの2Finでのライブラリーのみを用意したのであろう。それともう1つ違うのはM0ピッチである。Intel 4では30nmピッチとなっていたM0だが、PowerViaを使うとPDNの配線が要らないため、36nmまで緩めても十分間に合うことになったと思われる。
トータルの配線層数はPowerViaなしが15層+RDL(Re-Distribution Layer)なのに対しPowerViaありだと18層+RDLと3層ほど増える結果になったのは、とりあえず今回は試作段階だからかもしれない。意外にFS側が減らなかったな、という印象である。
ところでDeep Viaの話だが、これはどうやってトランジスタそのものに電源を供給するか、という話に関係する。下の画像で一番左が従来型の電源供給方式、中央が一般的なBS PDNの方式、右がPowerViaである。
つまり一般的な方式の場合、セルの外側にPDNからの配線を引っ張り、M0層を使って電源供給を行なうという方式である。これはBS PDNを使わない場合とトランジスタ層の互換性が一番高い。その反面、M0層を引き続きPDNに利用することになるので、M0層の配線密度を引き下げる効果が皆無になるし、ここが電源供給の際の損失の大きなポイントになりかねない。
そこでDeep Viaエリアから直接トランジスタに電力供給できるようにしたのが右側である。先のPowerViaの構造を示す画像でPowerViaを使う場合、トランジスタ上下のDeep Viaと赤いライン(Source)が接続しているのがわかるだろう。Deep Viaから直接ソースに電流を流しているわけだ。
ちなみに製造方法は、まずトランジスタ→FS側を従来と同じように積層後、密閉シール層を被せてからひっくり返して改めてウェハーに載せ、その上にBS側を積層するという、シンプルな構成とのことである。
下の画像がそのIntel 4+PowerViaの断面図である。
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