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CPU革命! 裏面電源供給技術PowerViaのテスト実装に成功 インテル CPUロードマップ

2023年07月10日 12時00分更新

Meteor LakeのE-Coreに実装成功
配線層が簡潔になり配線抵抗の削減にも効果あり

 実際のIntel 4におけるPowerViaの構造の詳細が下の画像である。

CPU革命! 裏面電源供給技術PowerViaのテスト実装に成功

Intel 4におけるPowerViaの構造。もしもIntel 4+PowerViaで3 Finの構成の場合、実際にはDeep Viaがある分PowerViaなしよりもセルの高さは増えると思われる

 トランジスタに関しては「基本」PowerViaの有無は関係ない。「基本」というのは左の図を見てもらうとわかるが、トランジスタを上下から挟み込むようにDeep Viaというブロックが追加されている。またIntel 4は3 Fin構造でセルライブラリーを構成しているのに対し、Intel 4+Power Viaでは2 Finでの構成になっている。

 今回はおそらくE-Coreのみでの実装なので、高速向けの3Finではなく高効率向けの2Finでのライブラリーのみを用意したのであろう。それともう1つ違うのはM0ピッチである。Intel 4では30nmピッチとなっていたM0だが、PowerViaを使うとPDNの配線が要らないため、36nmまで緩めても十分間に合うことになったと思われる。

 トータルの配線層数はPowerViaなしが15層+RDL(Re-Distribution Layer)なのに対しPowerViaありだと18層+RDLと3層ほど増える結果になったのは、とりあえず今回は試作段階だからかもしれない。意外にFS側が減らなかったな、という印象である。

 ところでDeep Viaの話だが、これはどうやってトランジスタそのものに電源を供給するか、という話に関係する。下の画像で一番左が従来型の電源供給方式、中央が一般的なBS PDNの方式、右がPowerViaである。

CPU革命! 裏面電源供給技術PowerViaのテスト実装に成功

なにがDeepなのか? というと、おそらくBS側のPDNと接続するのがこのDeep Viaだから。ちなみに左側のDeep ViaはSource/Drainと接続されていないように見えるが、これは単に模式図だからで、奥で接続される構造になっているはずだ

 つまり一般的な方式の場合、セルの外側にPDNからの配線を引っ張り、M0層を使って電源供給を行なうという方式である。これはBS PDNを使わない場合とトランジスタ層の互換性が一番高い。その反面、M0層を引き続きPDNに利用することになるので、M0層の配線密度を引き下げる効果が皆無になるし、ここが電源供給の際の損失の大きなポイントになりかねない。

 そこでDeep Viaエリアから直接トランジスタに電力供給できるようにしたのが右側である。先のPowerViaの構造を示す画像でPowerViaを使う場合、トランジスタ上下のDeep Viaと赤いライン(Source)が接続しているのがわかるだろう。Deep Viaから直接ソースに電流を流しているわけだ。

 ちなみに製造方法は、まずトランジスタ→FS側を従来と同じように積層後、密閉シール層を被せてからひっくり返して改めてウェハーに載せ、その上にBS側を積層するという、シンプルな構成とのことである。

CPU革命! 裏面電源供給技術PowerViaのテスト実装に成功

PowerViaの製造方法。これも簡単に見えるが、実はけっこういろいろ面倒なことは多い。インテルはこの製造方法について特許をいくつかすでに取得しており、そのあたりもあって詳細は説明しないつもりと思われる

 下の画像がそのIntel 4+PowerViaの断面図である。

CPU革命! 裏面電源供給技術PowerViaのテスト実装に成功

確かにBS側のPDNの配線が猛烈に太く(Deep Viaのあたりは当然細いが、これは致し方ない)、確かに配線抵抗の削減に効果がありそうに見える

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