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初の連作となる「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」は大満足のド級アクション映画だ!

2023年07月13日 15時00分更新

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 スパイアクション映画の金字塔「ミッション:インポッシブル」。

 主人公は、IMFという秘密機関のエージェントであるイーサン・ハント(演:トム・クルーズ)で、だれもが不可能に思えるミッションを必ず成功させる、というタイトル通りの意味が込められた作品になっている。

 「ミッション:インポッシブル」は、イーサン・ハントの世界を股にかけた冒険活劇でもあり、またシリーズごとにビルの壁を走って駆け下りたり、飛行機にしがみついたりと激しいアクションシーンも見どころの1つとなっている作品だ。

 作品未鑑賞の人もトム・クルーズが主演を務めていることは知っているかと思うが、じつは本シリーズは、1作目からトム・クルーズ自身が制作に携わっており、上述した激しいアクションも自身がスタントなしでやっている。

 ほかの映画でも同様のスタンスかと思うが「絶対に妥協をしない」、そんなトム・クルーズをはじめとした制作陣の思いが画面からヒシヒシと伝わるほど、エンタメ性にあふれたシリーズだと思う。

 さて、今回はそんな「ミッション:インポッシブル」の最新作「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」(7月21日公開)が満を持して公開されるので早速レビューしていこうと思う。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

IMFエージェント、イーサン・ハントに課せられた究極のミッション。全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すこと。しかし、IMF所属前のイーサンの“逃れられない過去”を知る“ある男”が迫るなか、世界各地でイーサンたちは命を懸けた攻防を繰り広げる。

 あらすじだけでもワクワクするが、製作総指揮のトミー・ゴームリーは「本作のスタート時点では『フォールアウト』をいかに超えられるかということが課題でした」と語っている。

 ファンはすでにご承知かもしれないが、シリーズ6作目の「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」は全世界で7億9100万ドルという同作史上最大のヒット作となり、高い評価を受けている。

 筆者もこの高い壁を超えられるのかという気持ちで完成披露試写会で観賞したが、今作は前作を優に超えてきそうなポテンシャルを持つ内容となっていた。

 同シリーズのファンはもちろんだが、「ミッション:インポッシブル」をまだ見たことがない人、大ヒットした「トップガン マーヴェリック」で「トム・クルーズかっこいい!」と思った人たちにこそ、劇場で見てもらいたい。

前作を超える(アクションシーン)について

 まず前提として今回筆者はIMAXの大画面で観賞させてもらった。だからこそ、冒頭からの砂漠を大々的に使ったシーンから一気に目を奪われた。

 大画面から伝わる鮮明な砂の質感、そこで砂嵐を起こして、さらに銃撃戦という、これでもかという引きで画面に没入させていく。

 そう、今作は、アブダビの砂漠やローマ、ベネチアの市街をロケーションとして贅沢に使っているのだ。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 「あんな綺麗な街でこんなド派手なアクションが撮れるのか!」とまず驚いたが、その中でもイーサン・ハントとグレース(演:ヘイリー・アトウェル)のカーチェイスシーンは見物だった。

 今作でイーサンは敵側だけでなく、警察からも追われるという絶体絶命の状況に陥るが、その双方から追われながら、逃げ道の少ないローマの細い路地を駆け回っていく。

 カメラの切り替えが見事な上、途中には、粗い運転のグレース視点があることで、ハラハラ、ドキドキ感を生まれ、まるで自分が一緒に乗っているかのような臨場感を味わえたのもよかった。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 またローマとは打って変ってシリアスな展開が続くベネチアでのシーンも印象的だった。

 夜のシーンが続くベネチアでは、イーサンとグレース、そしてイルサ(演:レベッカ・ファーガソン)との場面の切り替わりが効果的に使われている。

 詳しくは話せないが、「イーサン急いで!」と、とにかく心の祈りながら見てしまうほど、ベネチアでのシーンは緊張感があり、画面にくぎ付けとなった。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 そしてもちろん、「断崖絶壁からのバイクジャンプ」はクライマックスへと一気に弾みをつけるようなド派手なアクションとなっている。

 すでにトレーラーでも公開されているが、崖からバイクで飛び降り、バイクを乗り捨て、ダイブするという「それスタントマンなしでやるの?」と思うほど、過酷で危険なスタントだ。

 空中から落下する瞬間だけを切り取るのではなく、空中滑空の間も横からのショットで常に撮影しているので、まるで自分が空中を飛んでいるのではないかと思うほど臨場感がある。

 それに加えて、崖からジャンプした瞬間、それまでけたたましく鳴っていたバイクのエンジンが一瞬無音となるので、観客を空中に投げ出したかのように落ちていく感覚を効果的に演出していた。

 このように、とにかく迫力あるアクションシーンの連続なので、2時間43分という上映時間を感じさせないほど、没入感たっぷりの内容となっている。

キャストが織りなす重厚なドラマも

 今作のイーサンは、過酷なアクションはもちろんのことだが、ある過去のトラウマを抱えながら、戦っていくことになる。

 イーサンは不可能なことを可能にするヒーローではあるが、完全無欠のスーパーマンではない。あくまで人間で、すべてを救うことはできないという矛盾に悩まされる。それがイーサンを苦しめ、さらに渦の中に巻き込んでいく。

 そしてイーサンは今作の中でミッションか、仲間か、という「史上最大の決断」を迫られることになるのだ。それでも悩み、世界を救うために奔走するイーサン姿はやはり勇気づけられる。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 また今作のヒロイン、グレースは少し特殊な立ち位置にいる。彼女自身は天才的なスリの能力を持っているのだが、それが原因でイーサンとグレースは邂逅することとなる。

 彼女は1人で生きていけると思っている人間だ。だからこそ、衝突し、イーサンの前からたびたび姿を消そうとする。ヒロイン像としては目新しくもないようにも思えるが、彼女の渦中に巻き込まれても自分の芯を貫いた行動というのは非常に魅力的に映った。

 イーサンとグレースの相容れないようで、共闘していくという関係性は見どころの1つと言えるだろう。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

  そして敵としてイーサンに立ちふさがるガブリエル(演:イーサイ・モラレス)。本当に彼が憎たらしい相手なのだ。もちろん、こう思わせる俳優の演技がすごいことの裏返しなのだが。

 彼はイーサンのトラウマにして、過去最大の敵でもある。イーサンの過去を知っているからこそ、一番嫌な手で、イーサンを追い詰めていくのだ。

 タイトルにもなっている「デッドレコニング」というのは、じつは彼に一番かかっている表現なのではないかと個人的には思う。その理由はぜひ、劇場で観賞して考察してみてほしい。

 それ以外にも今作には過去作からの続投やカムバック勢が多い。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 天才ハッカー役で1作目から登場するルーサー(演:ヴィング・レイムス)と、「M:i:III」から登場する天才技術者のベンジー(演:サイモン・ペッグ)はイーサンにはなくてはならない仲間となっている。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 また1作目から再登場するヘンリー(演:ユージーン・キトリッジ)は銭形警部ばりに「イーサン!待てー!」とどこまでも追いかけてくるし、「ミッション:インポッシブル/ローグネイション」でシリーズに参加したイルサ(演:レベッカ・ファーガソン)はかなり重要のポジションでイーサンを支えている。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」で登場した、ホワイト・ウィドウ(演:ヴァネッサ・カービー)も怪しさ全開で、今作に絶妙な味付けをしている。

 もちろん、再登場させるからにはそれぞれのキャラクターに使命があり、役回りがあるということだ。これらの実力派キャストが織りなす、伏線が張り巡らされたドラマ性も、注目の1つといえる。

この臨場感は劇場でしか味わえない!

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

 「トムと私は、観客の没入感を高めることに全力を注いでいます」とマッカリー監督が語るとおり、今作は映像への没入感がかなり高い。

 今作は世界各地でロケを行っており、ローマの街並み、べネチアの夜の情景、砂漠の土地感など、すべてがきめ細やかく鮮明に映像から伝わってきた。

 もちろん先述したアクションシーンも同様だ。大画面で見るアクションはそれだけで臨場感があり、映像にのめり込ませる力があった。とくに車やバイクのエンジン音は、全身に伝わるような鳴りだったし、崖からのジャンプはまるでアトラクションに乗っているかのような劇場体験を得られた。

 結論、この没入感や臨場感を味わえるのはやはり劇場限定といったところ。

 それを象徴するように、今作は5種類(IMAX・MX4D・4DX・Dolby Cinema・ScreenX)の上映方式で公開される。

 IMAXの大画面と鮮明な映像表現、そして迫力の音響で見るもよし、IMAXよりさらに視野角を広くしたScreenXで見るもよし、劇場体験をとことん追求したいならDolby Cinemaで見るのもいいかもしれない。

 また風や香り、座席が動いたりする4DX、MX4Dでアトラクション感覚で見るのもおすすめだ。

 重厚なストーリーに、イーサン・ハントが挑むかつてないほどのミッション、そして立ちふさがる最大のヴィラン。それらを1作でまとめるのは少々時間が足りない。というか勿体ないと思えてしまうほど、今作は大満足の出来となっていた。

 2作目はこれを超える劇場体験が待っているはず。その前に、1作目を最高の環境で観賞してみてはいかがだろうか?

 「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」は7月21日より全国ロードショー。

映画概要

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

タイトル:『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
監督・脚本:クリストファー・マッカリー(『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』)
出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、
サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴァネッサ・カービー、
イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、ヘンリー・ツェニー
全米公開:2023年7月12日
原題:Mission: Impossible – DEAD RECKONING PART ONE
7月21日(金)全国公開
©2023 PARAMOUNT PICTURES.
配給:東和ピクチャーズ
公式サイト:https://missionimpossible.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/MImovie_jp

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