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石油元売り大手がEV充電に本腰! ガソリンスタンドで急速充電できる時代が来そう

2023年07月08日 12時00分更新

2025年までに1000基以上設置!
ENEOSに聞く今後の充電器戦略

今回お話をうかがった、ENEOS株式会社 EV事業推進部EV事業企画グループ 天野敏康グループマネージャー(2023年2月時点)

 それでは事業に関わる⽅に、狙いなどについて話をうかがいましょう。まず充電器の設置状況と予定を聞きました。「現在、充電器は2025年度までに1000基以上を設置する計画で進めています。そして2030年度までには、EV需要によりますが、急速充電器における政府⽬標の3万基のうち、3分の1程度を賄いたいと思っています」というから驚きです。

 そして現在は50kWタイプの充電器ですが、今後は取り出し⼝が2つあるタイプや、より給電能⼒の⾼い充電器の開発を⾏なっていく計画があるとのこと。VWグループは⽇本国内で90kWや150kWといったより給電能⼒の⾼い充電器ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス」を始めましたし、テスラも250kWタイプを⽤意していますので、ここはより給電能⼒の⾼いチャージャーの登場を期待したいところです。

EV充電器の設置には、ある程度の敷地面積が必要となる

 現在は首都圏を中心としてEV保有台数が多く、集合住宅の比率が高い地域を中心に充電器を設置しているENEOS Charge Plus。ENEOSのサービスステーションだけでなく、カーディーラー、商業施設、果てはコンビニなどにも設置を計画しているといいます。ただ、すべてのガソリンスタンドに設置するのか、というと難しいとのこと。その理由は、ガソリン計量機(給油機)のすぐ近くに充電器は設置できないという消防法の規制や、そもそも長時間クルマを停車させるため、ある程度の敷地が必要なるためです。

 また、ショッピングモールなどから「うちの駐車場に設置してほしい」という依頼が来た場合、応えてくれるのでしょうか? 「調査・検討させていただきます」としたうえで、「設置する場合、充電器本体および設置工事の一部負担をお願いしております」と、一定の費用は求められます。また「エネオスでんきの加入は必要ありませんが、発生した電気代は事業者の方に負担をお願いしております」というように、1分あたり49.5円がまるまる事業社の収入になるわけではありません。

 また、「パーキングエリア」や「サービスエリア」に設置してほしいというのが、利用者的には切実な願い。というのも高速走行は電力の消費が激しいから。ですが、残念ながら難しいようです。「⾼速道路のサービスステーションは狭小であることが多く、充電器の設置が難しいのが現状です」。その一方、「高速道路のIC近くにあるサービスステーションの中には、敷地面積の大きな場所もあるので、そういった場所には積極的に設置していきたい」とのことでした。

充電をしている様子

 ENEOS Charge Plus充電会員カードやEneKeyを利用する場合の充電料金は、ガソリンと異なり全国一律。昨今、電気代が急激に高騰していますが「当面は価格を変える予定はない」と言います。もちろん、これは今後どうなるかわかりませんが「現在のところは」という認識はしておくべきでしょう(2023年5月よりENEOS Charge Plusの会員価格が新たに設定された→こちら)。

 最後に「ENEOSのサービスステーションは給油するだけではなく、クルマの様々なこと(点検や車検、洗車)などのサービスも行なっています。それは電動化の時代になっても変わりません」とコメント。今後、ガソリン需要が少なくなり、計量機から充電器に置き換わっていくことは想像に難しくなさそう。今はまだ珍しいENEOSの充電器。あと数年後、誰もがENEOS Charge Plusのお世話になっているかもしれません。

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