Silent-Master PRO Z790-Mini/D4をレビュー
ファンレスクーラーの極・静音PC、Core i9を静謐かつ高性能で運用する秘密はPL1=55W
定番ベンチマークでもなんら問題なし
定番のベンチマークソフトを使った性能も簡単に見ていこう。まずは総合ベンチマーク「PCMark 10」から。このベンチマークソフトはブラウザーからオフィスソフト、動画編集まで、幅広いジャンルのソフトを動かし、その性能を測ってくれる。CINEBENCH R23はほぼCPUだけでスコアーが決まるが、PCMark 10はメモリーやSSDによっても大きくスコアーが変化する。
なお、すべてのテスト結果を踏まえた総合スコアーのほか、ビデオ会議やブラウザー利用をメインとした「Essentials」、オフィスソフトの性能を見る「Productivity」、ビデオや写真編集、CGレンダリングといったクリエイティブ用途の「Digital Content Creation」といった3つのサブスコアーもある。そのため、どういったジャンルの用途を得意としているのか、という点までチェックできる。
総合スコアーは8697とゲーミングPCとして十分な結果。ちなみに、Core i7-13700Kを搭載した「Silent-Master NEO Z790/D5」は8847スコアーだった。省電力版とはいえど、Core i9の底力を感じる結果と言える。
続いては3Dグラフィックス性能だ。こちらも定番となる「3DMark」でチェック。3DMarkには複数のテストがあるが、まずは現状最も重たいテストの「Speed Way」の結果を見てみよう。こちらはDirectX 12 Ultimateを利用しており、レイトレーシングやグローバルイルミネーションなどをふんだんに使用したテストになる。
スコアーは3176ptsで、GeForce RTX 4060 Ti搭載PCとしては平均的。ビデオカードへの負荷が高いテストだけに熱が心配だったが問題なく、スコアーへの影響もないようだ。
ほか、3DMarkにはレイトレーシングテストの「Port Royal」、DirectX 12ベースの「Time Spy」、DirectX 11ベースの「Fire Strike」など、多くのテストがある。これらの結果はグラフにまとめておいたので、性能比較などに役立ててほしい。
もう1つ、実際のゲームに近いベンチマークとして、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチマーク)も試してみよう。こちらは実際のゲームデータを使ったベンチマークソフトで、画質や解像度を変えてゲームの快適度を調べられる。
また、画質を「高品質」設定にした場合、ゲームベンチマークの中では比較的重たいものとなる。それだけに、このベンチマーク結果が良好なら多くのゲームが快適に動作すると判断できる。解像度はフルHD(1920×1080ドット)、WQHD(2560×1440ドット)、4K(3840×2160ドット)の3パターンで試した。
スコアーはフルHDが13040、WQHDが9369、4Kが5285となった。評価を見ると、フルHDは「非常に快適」、WQHDは「とても快適」、4Kは「やや快適」と、いずれの解像度でも遊べるレベルはクリアー。ゲーミングPCとしても十分高性能と言えるだろう。
まとめ:ふだんの環境音が気になるほど静かな極・静音PC
性能と静音性はトレードオフの関係にあり、基本的に静かなPCは性能が低いPCになりがちだ。しかし、Noctua製の巨大なファンレスCPUクーラーと静音PCケースファンを用い、そのエアフローが最適になるようにPCケースを吟味。そして、絶妙なPL1設定を見定め、静かなのに高い性能を実現したBTOパソコンがSilent-Master PRO Z790-Mini/D4だ。
その静音性は異次元のレベルと言っていい。「さすがにビデオカードのファンが回れば騒音はあるよな」と思い、FF15ベンチマーク実行中に耳をそばだてると、3メートルほど離れた位置にあった私物のNASの動作音のほうが気になったほどだ。つまり、目の前にある本機はふだんの環境音よりも静かだったということになる。
もちろん、PCの裏に耳を近づければファンの音はかすかに聞こえるものの、前面側にいればまず気がつかないレベル。従来のSilent Master NEOシリーズも静かだったが、本機は確実にそれを上回る静音性を実現している。静音性は重要だけれど、性能は犠牲にしたくないと考えている人なら、惚れ込むこと間違いなしと断言できる。そのぐらい、静音ゲーミングPCとして極まったモデルだ。
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