アドビは6月13日、同社の生成AI「Adobe Firefly」および「Adobe Creative Cloud」についての説明会を開催。同日「Adobe Illustrator」ベータ版(英語のみ)で提供が開始された、新機能「Generative Recolor」を含む、AI関連の最新アップデートを紹介した。
2023年3月に提供が開始されたAdobe Fireflyは現在、Web版として複数の機能が公開されているほか、企業向けのエンタープライズ版の提供も発表されている。Adobe Creative Cloud製品への実装も始まっていて、すでにPhotoshopのベータ版で一部機能が利用可能。今回新たにIllustratorのベータ版でも、「Generative Recolor」という新機能が利用できるようになった。
Illustratorには、作成したグラフィックデザインのオブジェクトの配色を、一斉に変更できる機能が備わっている。この「オブジェクトを再配色」機能に、生成AIを用いたものが「Generative Recolor」だ。メニューを選ぶとパネルに、おすすめの配色パターン(Sample Prompt)の候補が表示され、選ぶだけで簡単にグラフィックの配色を置き換えられる。「Classic」「Forest」など目指す色の雰囲気を、テキストで入力して命令することも可能。パレットからベースになる色を指定して、配色を生成することもできる。
「クライアントから〇〇のような雰囲気でと言われることがあるが、それをテキストで命令できる」と、マーケティング本部 マーケティングマネージャーの岩本 崇氏。
Generative Recolorが利用できるIllustratorのベータ版は、英語版のみの提供となるが、Web版でも同様の機能が公開されていて、Illustratorから書き出したSVG形式のファイルを用いて、機能を体験できる。
説明会ではあわせて、Photoshopのベータ版で提供中の生成AI機能「生成塗りつぶし(Generative塗りつぶしから名称変更)」のデモも披露された。実際には写っていない風景などを描き足せる機能で、縦の写真を横に広げて左右の背景を描き足したり、道に水たまりを描き足すといったことができる。描き足す場所を選択する際に、すでにある風景を少し多めに選択範囲の中に含めるのがコツとのこと。描き足された水たまりには、中心となる被写体の反射などもしっかり描きこまれていて、リアリティがある。
アドビ Creative Cloudエバンジェリスト仲尾 毅氏は、Adobe Fireflyの特徴として、商業利用を念頭に設計されていることを説明。「Adobe Stock」の画像やオープンライセンス画像、著作権が失効したパブリックドメインの画像を学習モデルにしているため、安心して利用できることを改めて紹介した。またコンテンツの来歴が確認できる「コンテンツクレデンシャル機能」を、PhotoshopやAdobe Stockに実装するなど、アドビの取り組みについても解説。同機能は1000を超える企業、団体が参加するコンテンツ認証イニシアチブが提唱するもので、生成AIによって懸念されるディープフェイクなどにも、積極的に取り組んでいることを強調した。
Adobe Express:
豊富なテンプレート×Fireflyでコンテンツ制作が可能
Adobe Fireflyは豊富なテンプレートが利用できる、オンラインデザインツールの「Adobe Express」にも実装されている。アドビでは、Adobe Expressを「オールインワンのコンテンツ作成アプリ」として作り直し、パブリックベータ版を公開しているが、そこにFireflyも導入された。現在は英語のみの対応だが、欲しい画像のイメージやフォントの効果を言葉で入力するだけで、イメージ通りのコンテンツを簡単に制作できる。ほかにも動画やアニメーションを含めた編集や、Photoshop、Illustratorのファイル、PDFのダイレクトな編集、シームレスな共同作業が可能になっている。
マーケティング本部 マーケティングマネージャーの轟 啓介氏は「ソーシャルのプラットフォームを使って、マーケティング活動をしたい方々の大きな力になると思う」と、新しくなったAdobe Expressをアピール。また今年の後半から順次提供予定のFireflyを用いた映像制作ついても触れ、ワークフローが劇的に変わると紹介した。
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