2023年5月23日、DG TAKANOは水不足という世界的な課題に挑むプロダクトとして、すすぎだけで汚れが落ちる皿「meliordesign(メリオールデザイン)」を発表した。「節水」のために水栓を作ってきたDG TAKANOが、今度は少量の水だけで汚れが落ちるお皿を提案していく。
年間240時間の食器洗いの時間を節約
meliordesignはすすぐだけで汚れが落ちる皿。すすぐ時間も最大1秒でよく、お湯も食洗機も洗剤も不要だという。洗剤に用いられる界面活性剤を海に流すこともないため、海洋汚染への対策にもなる。自然乾燥にかかる時間も通常の磁気の皿に比べて約1/3で済む。試算では年間10日分(240時間)の食器洗い時間が節約できるという。
開発元のDG TAKANOは、デザイン会社として創業以来「水不足」という世界的な課題に取り組んでおり、2009年に超節水ノズル「Bubble90」を製品化。水圧だけで高い洗浄力を可能にする脈動流を生成し、今までの5%の水量で洗浄物の汚れを落とすことを可能にした。現在、Bubble90は大手レストランチェーンの8割、全国のスーパーの5割が導入しており、節水量は大阪市民1ヶ月分の水量に匹敵するという。
そして、水不足という課題解決をさらに進めるべく、同社が次に焦点を当てたのは、一般的に水栓と組み合わせられるシンクではなく、洗われる対象となるお皿だ。特許出願中の特殊な表面改質技術を用いることで、汚れと皿の間に水が入り込み、落ちにくい油の層も洗剤なしで落とせる。
DG TAKANO 代表取締役(CEO) 高野 雅彰氏は、「従来のお皿だと一見油膜が落ちているように見えるが、残っているので、菌が残っている。(meliordesignは)油膜まできれいに落ちるので、水洗いだけで済む。だから、汚れが落ちやすいお皿と、水洗いだけで汚れが落ちるお皿は全然違う」と指摘する。
あらゆる食器洗いが、すべて水洗いで終わる世界へ
発表会では、落ちにくい汚れの代表とも言えるラー油や口紅を用いて、水洗いが実演された。ビデオでは指でササッとぬぐうだけで魔法のように汚れも落ちていたが、実演でも同じだった。既存の磁気皿ではこびりついていた油汚れも、meliordesignでは自然と水に浮き出していた。
企業向けに販売されていたBubble90に対して、今回のmeliordesignは一般消費者向けに販売される。深皿L/M、ボウル、プレートの4枚からなるスターターキットが1万3800円で販売開始されている。高野氏は「コロナ禍でお客さまにあたる飲食店がビジネス面で苦しみ、私たちも苦しんだ。研究開発も大変だったが、ようやくここにたどり着いた。今まではB2Bのビジネスだったが、これからはB2Cの世界に行く」とコメントした。
今回はお皿のみの発表だったが、今後はラインナップを増やしていく予定。「ナイフ、フォーク、包丁、まな板、おたま、調理器具まで、すべて水洗いで終わるようになる」と高野氏。マーケットサイズも2029年には倍増すると見ている。
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