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コロナ禍で生まれた宅配時代の「ハコアケ・ガジェット」を衝動買い

2023年05月11日 12時00分更新

今回は「令和なハコアケガジェット」(上)と「昭和なハコアケ道具」(下)を実際に段ボールを20個開けて確かめてみた

2Wayハサミと2Way携帯ハサミの性能比較

 過去何十年間段ボール箱を開けてきて使い慣れているカッターナイフはひとまず置いておいて、今回は20個近くの段ボール箱を2Wayハサミと2Way携帯ハサミの両者で開けてみた。まず慣れの問題はあるが、2Wayハサミの方は確実に慣れるまではホールド性能が心もとない。

刃先が太く、刃の露出が少なくクラフトテープの中央を切り裂くつもりが、直進性が多少乱れることがあった

 スライドスイッチを前に押してハサミの両ハンドルを握ったままクラフトテープが貼られた中央部分を真っすぐ切るには、エッジの効いた鋭いカッター刃と違い少し慣れが要る。安全を考慮して刃の露出面積が小さいが、ゆえにたまに切り裂く方向性がふらつき直進性を見失ってしまう。

普通のハサミとしては疑問はあるが2Way携帯ハサミは、ハコアケに関しては2Wayハサミより扱いやすい。わざわざカッターナイフを止めて2Wayハサミを使う意味が大事だ

 そのため、仕切り直して2度目のトライを必要とする場合もあった。いずれの2Wayハサミも刃の露出が少ないのは安全性の確保と段ボールの中味を誤って切ってしまわないように……との配慮だが、そもそもカッターナイフでも刃の露出量をクラフトテープの厚さだけを切れる露出にさえすればいずれの問題も皆無のはずだ。

 2Wayハサミはレガシーなハサミの格好と機能を備えているので、大きく機能的に劣ることはないが、刃渡りがたった35mmしかない2Way携帯ハサミは、ごく普通のハサミとして使用しようと考えた場合、同じコクヨの平凡なハサミと比べても扱いづらく目的が限定されてしまう。

 宅急便が届けば安全なカッターナイフ機能として段ボールを開けて、取り出した商品のタグ紐を切ったり、梱包のナイロン紐を切ったりする程度の目的ならカッターナイフとハサミがハイブリッドした効果は十分感じられそうだ。普通のハサミとしては期待する方が間違いだ。

 一方、自宅に小さな子供が居たり高齢者が居る場合の安全対策を考えるなら、2Wayハサミも2Way携帯ハサミもその効果は発揮しそうだ。いずれも「ハコアケモード」のカッター刃的なブレードを露出させるには、スライドスイッチによる操作やハンドルを握る(2Wayハサミ)という操作が必要なために、普段は刃が露出していない。

 しかし2Way携帯ハサミは、ブレード部分を収納するには意識的にスライドスイッチを元に戻す必要がある。2Wayハサミのように、手から離すだけでブレードが自動的に格納されるわけではない。これは意識的にするなら、ブレード部分を収納できるカッターナイフも同様に安全なはずだ。

 小さな子供や高齢者がいるなら、できる限り安全に配慮した道具の必要性はあるだろう。しかし難しいのは不用心に使うと危険に見える道具も、長く使い慣れていると安全な場合も多い。そして道具には、正しく使わないと危険な場合もあることを子供には教えたい親もいるだろう。

人類に何百年と長く使われてきたナイフとハサミの両者の機能をまとめたハイブリッド製品の難しさを実体験できただけで意義はあった

 今回、約20個近くの段ボールを2Wayハサミと2Way携帯ハサミの両方を使って開梱してみた。筆者の場合、購入しているものが偏っているのかハサミの出番は少なかった。大半はカッターナイフとして両2Wayハサミを使った。現在の結果は超個人的にはダイソーで3本100円のレガシーなカッターナイフと、コクヨの大きな普通のハサミの方が良かった。

 いろいろ考えている内に、以前も似たような選択の悩みがあったような気になって家中を見渡して見ると、キッチンにAmazon.co.jpで980円で買った「焼き網」とセレブな「バルミューダのトースター」を見つけた。どっちもトーストは焼けるが、どっちが好きかは人それぞれだ。2Wayハサミ、2Way携帯ハサミとレガシーなカッターナイフの関係性も同様だろう。今のところ筆者はレガシー派だ。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:コクヨ「2Wayハサミ ハコアケ チタン・グルーレス刃 ブラック(ハサ-PT410D)
・購入:Amazon.co.jp
・価格:1110円

・アイテム:コクヨ「2Way携帯ハサミ ハコアケ チタン刃 カーキ(ハサ-T420DG)
・購入:Amazon.co.jp
・価格:1190円

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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