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BlackBerry教徒が使途を考えずUSBブラベリキーボード「BBQ20KBD」を衝動買い

2023年05月04日 12時00分更新

DIYユーザー向けのデバイスショップ「Solder Party」から名機BlackBerry Classic Q20のキーボード+トラックパッドを独立させたUSB外部キーボードを衝動買い

名機BlackBerry Classic Q20のキーボード+トラックパッドを
独立させたUSB外部キーボードを衝動買い

 令和5年の現在、BlackBerry(ブラックベリー)と聞いてにんまりとする人は、どのくらいいるだろうか? 今から27年前の1996年に「小さなQWERTYキーボード付きで電子メールが使える双方向ポケットベル」を発売。大きな手のプロスポーツ選手が器用にメールを打つTV CMが、極めて印象的な携帯端末だ。

 開発したのはカナダのRIM(Research In Motion)、その後、独自OSを搭載し現在のスマホと同じように音声通話やWebブラウジング機能を追加したモデルを発表した。日本国内でもNTTドコモが、本国では圧倒的な数のユーザーのいる日本の外資系企業向けの情報端末として販売していた。一時はできるビジネスマン=BlackBerryのイメージだった。

 その後は、iPhoneやAndroid系の急激なシェアの拡大に押され不振が続き、中国TCLとライセンス提携。いくつかの新しいデバイスも発表、出荷されたが市場活動は限界を迎え、TCLとのライセンス提携も2020年8月末で終了した。その後、米国スタートアップ企業のOnwardMobilityが後継機種の発表・発売を予告するも、残念ながら2022年2月に開発を断念し組織を解散した。

BlackBerryをはじめ、筆者が使っていたUnihertz、Side Kickなどなど、QWERTYキーボード付きデバイスの一部。今でも思い入れのあるモデルが多い

 BlackBerryに限らず、QWERTYミニキーボードを搭載したスマホ系のガジェットは、常に世界中で一定数のマニアに支持されてきた。筆者もBlackBerry Bold以来、TCLのモデルも含めほぼ全てのモデルを愛用してきた。もちろん他社のQWERTYキーボード入力デバイスも、多く常用していた。

BlackBerry Classic Q20のキーボード+トラックパッドを基盤から切り出してクリアなアクリルケースで底面をカバーした手作り感満点のBBQ20KBD

 今回ご紹介する衝動買いプロダクトは、既に生産終了した「BlackBerry Classic Q20モデル」からキーボードとトラックパッド部分だけを取り外しRaspberry Pi RP2040で認識できるように加工。特別に製造した射出成型クリアプラスチックケースに収めた、ハンドメイドに近いマニアックな商品「BBQ20KBD」(BlackBerry Q20 Keyboard)だ。製造したのはスウェーデンに本拠を置くSolder Party(ソルダーパーティ)と呼ばれる、自作ハードウェアユーザー向けにデバイスを提供すべく特化した組織だ。

ABSケースに入っていた同梱品はKBD本体のBBQ20KBDと取説1枚。関連技術情報やサンプルーコードはパッケージ上面とBBQ20KBD基盤裏のQRコードでゲットする

 筆者はこのBBQ20KBDを自作ハードウェアマニアが集まるウェブショップの「Tindie」で本体を30ドル(約4000円)、日本までの送料12.90ドル(約1770円)の合計の約5800円で衝動買いした。小さなABSケースに入って到着したBBQ20KBD本体の付属品は、簡単な特徴を記した1枚の取説のみ。全ての関連情報やサンプルコードは、ABSケース上とキーボード裏面に記されたQRのリンク先から入手可能だ。

BBQ20KBDの背面

 BBQ20KBDはBlackBerry Q20のキーボード部分だけを再利用しているので、入力もBlackBerry Q20と全く同様だ。両手の親指で、小さなQWERTYキーボードのキートップをプチプチと押しながら入力する。Alt+Left Shift、Left Shift+Right Shift、Alt+Right Shiftなどのコンビネーションで、Num/Alt LockやCaps Lockも可能だ。筆者の個人的な感覚では、重いBB Q20の液晶部分がないのでBBQ20KBDのキー入力のバランスはよりグッドだ。

BlackBerryの基盤から切り出したキーボード部分は、クッションテープでアクリルケース上に接着されている。文字入力に多少たわむが、かえって心地よい入力感だ。中央の四角いのがトラックパッド

切り出したのがよく分かるキーボードの下部。キー入力時に左右の親指の腹を確実に捉えるキートップ上の独特のアールの向きがもはやアートだ

 またキートップ上に表示はないが、スペースバー左横のマイクロフォンキーを押すことで「Tilde(チルド)」文字を出力できる。キーボード上部中央にはトラックパッドとして使えるセンサーキーもあり、PCのようなマウス操作も可能だ。

外部コネクターは基盤に記述がある。コネクター側から見て右から順に、PMOD、USB Type-C、Qwiic/Stemma QTと並ぶ

 BBQ20KBDはI2C(Inter-Integrated-Circuit:同期式シリアルバス通信)をサポートし、キーボード面を上にして基盤上の左端にはQwiic/Stemma QTコネクター、右端にはPMODコネクターが用意されている。BBQ20KBDを、自作のハードウェアの入力デバイスとして使用しようと目論んでるユーザーには、便利そうだ。

キーボード面を下にして撮影

 昨今ならより一般的なUSB Type-Cのポートも中央部分に用意されておりUSB Type-Cケーブルを利用することでWindows/Linux/Macのパソコンやスマートフォン(iOS/Android)、シングルボードコンピューター(Raspberry Piなど)に接続できる。BBQ20KBDは、USB HID Keyboard and Mouse comboとして認識され、それぞれのOS環境下で文字入力、ポインティングデバイスとして使用が可能だ。

1mくらいの柔らかい両端がUSB Type-Cプラグのケーブルを使ってThinkPad X1 NanoのWindows 11を文字入力、マウス操作してみた

 Qwiic/Stemma QTコネクター、PMODコネクターは超文化系の筆者には、実力的にも全く縁のない世界だがUSB Type-Cポートは筆者もいろいろ楽しめそうだ。早速自宅に在ったAnkerの柔らかいType-C to Type-CケーブルをBBQ20KBDとThinkPad X1 NanoのUSB Type-Cポートに繋いでみた。

 問題なくWindows 11環境で、BBQ20KBDはHIDデバイスとして認識され、マウス操作もキーボード入力も全く問題なくできた。残念ながらローマ字/カナ漢字入力のためのフロントエンドプロセッサーの起動・終了のキーコンビネーションが分からず、Widows環境ではBBQ20KBDのセンサー式トラックパッド部分を使ってタスクバーでオン/オフした。

 BlackBerryキーボードタイプの入力装置を使ったのは久し振りだったので、最初はミスタイプも多かったが2〜3行入力した頃から完全に感覚が戻って来た。しかし、敢えてデスクトップPCやモバイルPCでこのBBQ20KBDを使う必然性はあまり見当たらない。

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