週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

テクノロジーとアートが融合したわくわく感

演奏者がいないコンサート「無人オーケストラ」がすごかった

2023年03月28日 06時00分更新

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

 「指揮者のいないオーケストラ」はある。「題名のない音楽会」もある。それでは「演奏者のいないコンサート」は?……さすがにないだろうと、思っていたが、実際にはあった。

 3月25日に横浜みなとみらいホール(大ホール)で開催された「無人オーケストラコンサート」だ。本コンサートは、インターネット上の仮想空間で繰り広げられる芸術フェスティバル「横浜WEBステージ」の関連企画。2020年12月に第1弾が開催されており、その第2弾となる。

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

合計68台のスピーカーがステージに並ぶ、驚きの無人オーケストラ演奏。

 事前に収録したオーケストラの演奏を、オーケストラとほぼ同じ配置で置いた合計68台のスピーカーで再現する。ほかに類を見ない試みだ。生演奏とも一般的なオーディオ再生とも異なる新しい音楽体験を提供する。本公演に先立つ、3月24日にはメディア関係者を招待した説明会が開催され、横浜WEBステージのクリエイティブディレクターを務める田村吾郎さん、ゲストMCを務める声優の小岩井ことりさんが登壇。実演を挟みながらその魅力について語った。

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

横浜WEBステージのクリエイティブディレクターを務める田村吾郎さん(右)、本公演でゲストMCを務めた声優の小岩井ことりさん(左)

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》組曲 Op.71-aより第8曲<花のワルツ>、ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》組曲(1918年版)、モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466などを演奏。

多数のマイクを使った収録、スピーカー選定にもこだわり

 無人オーケストラでは、各奏者の演奏と会場の響きを収録するために合計139本のマイクを使用。96kHz/24bitの品質で記録している。収録にはNHKテクノロジーズが協力した。その再現に使うパワードスピーカー、ミキサー、デジタルインターフェースなどはヤマハが提供。収録時の演奏者と同じ位置にスピーカーを配置しているほか、楽器の特徴に合わせて大小のスピーカーを用意。後方に向かって音が出るホルンはスピーカーを後ろに向けるなど、機種選定や置き方など細かなところまでこだわったものになっている。

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

楽器の大きさや雰囲気に合わせて、大小さまざまなスピーカーを活用している。

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

低弦の音は見た目の雰囲気が近い、ポータブルPAシステム「STAGEPAS 1K」を使用。ラインアレイスピーカーを搭載し、ハイパワー・高音質を実現。

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

ホルンの先は後ろを向いているので、スピーカーもその向きに合わせ、反射板に向けて音を飛ばしている。

 第1弾のコンサートからの進化ポイントのひとつに、オーケストラならではの音の広がりを表現するため、アンビエンス再生用のスピーカーを追加したことが挙げられる。これらのスピーカーはステージの後方にあるパイプオルガンの前に合計6台が置かれており、事前に収録したホールの残響を補う用途で使っている。

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

パイプオルガンの前にもスピーカーが設置されている。

無人オーケストラ前日発表会、登壇:小岩井ことり、田村吾郎

座席の後方(パイプオルガン前のP席)に設置。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります