OpenAIは3月14日(現地時間)、「ChatGPT」を支える大規模言語モデル「GPT-3.5」の後継となる「GPT-4」を発表した。
GPT-4は、過去のモデルよりも問題解決能力が大幅に向上し、扱えるテキストの量も増加。画像からの入力(出力はテキストのみ)にも対応するマルチモーダルモデルに進化している。
有料版「ChatGPT Plus(月額20ドル)」に登録することですぐにGPT-4を試す(回数制限あり)ことができるほか、APIのウェイティングリストも開設されている。
すべての性能でGPT-3.5を凌駕
GPT-4は過去のモデルと比べ、より幅広い一般常識と問題解決能力により、難しい問題をより正確に解決することができるという。
例えば、これまでのGPT-3.5では受験者の下位10%程度の点数しか取れなかった司法試験の模擬試験で上位10%に入るスコアを、また、高校生を主な対象とした生物学の問題を解く能力を競う「国際生物学オリンピック」の問題では上位1%のスコアを記録した。
また、機械学習モデル用に設計された従来のベンチマークでもほとんどの最先端(SOTA)モデルを大幅に上回っている。
GPT-4は英語以外の性能も向上している。57のテーマにまたがる1万4000の問題を解かせるMMLUベンチマークを使ってテストすると、26言語中24言語(ラトビア語、スワヒリ語などリソースの少ない言語を含む)においてGPT-4はGPT-3.5や他の大規模言語モデル(Chinchilla、PaLM)の英語での性能を上回っている。
画像をプロンプトとして入力することも可能
GPT-4は、テキストによるプロンプトだけではなく、画像を利用してその画像の説明や分類・分析をすることも可能になっている。
たとえば、上記の写真に加えて「この写真のどこがおもしろいか写真ごとに説明して」というテキストを入力すると、1枚ごとの状況を説明した上で「この画像のユーモアは、大きくて時代遅れのVGAコネクタを、小さくてモダンなスマートフォンの充電ポートに差し込むという不条理から生まれています」と解説してくれるのだ。
ただし、画像入力機能は現在のところ非公開であり、パートナー(恐らくマイクロソフト)と連携し、広く提供できるように準備中とのことだ。
扱える文字数も増加
GPT-4は2万5000語以上のテキストを扱うことができるので、より長文のコンテンツ作成や文書の検索・要約・分析などが可能になった。
例えば1万語を超えるWikipediaの1項目全文を入力し、それを要約・分析することもできるのだ。
GPT-4はまだ完全ではない
大幅にパワーアップしたGPT-4だが、従来のGPTモデル同様の限界があることをOpenAIも認めており、完全に信用することのないよう注意を促している。
OpenAIは、GPT-4をより安全かつ整合性のあるものにするためのフィードバックによるトレーニングに6ヵ月を費やした結果、GPT-3.5と比較し、不適切なコンテンツを表示してしまう確率が82%低く、事実に基づいた回答を出す確率が40%高くなったという。
とはいえ、まだまだ完全ではない。これまでのモデルと同様、多くの人に使ってもらいながら定期的にアップデートしていく予定だ。
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