JALとサウナの結び付きから紐解く
最新技術が詰まったシステム
日本航空(以下JAL)とアクティアは、センサー技術やクラウドを活用した「サウナ室リアルタイム人数カウントシステム」を開発。スマホやPCでサウナの混雑状況が把握できる新サービス「TOKYO SAUNIST」を開始すると発表しました。と、聞くと「どうしてJALがサウナのサービスをするの? どうやって高温多湿の環境下で人数をリアルタイムで計測できるの?」など様々な疑問が頭をよぎります。謎が謎をよぶ発表会見に行ってきました。
まずJALとサウナの関係について。このサービスを担当するのはイノベーション推進部の岡本昴之アシスタントマネージャー。岡本さんは、2018年に社内でサウナ部を立ち上げたほどのサウナ好き。ちなみにJALサウナ部の部員は現在470名近くいらっしゃるそうで、そのうち女性は42%ほど。JALの中ではサウナが盛り上がっているのだとか。そして異業種企業のサウナ部との交流も活発なのだそう。
そんなサウナ好きの岡本さんは「温泉旅行のために飛行機を利用するように、サウナを目的に飛行機で旅行をするサウナ旅行が当たり前になる時代が来るかも」と、2019年にサウナツーリズムを核とした商品・サービス「JALサ旅」をスタートさせます。ですが、その頃に新型コロナウイルス感染症拡大により、航空需要は激減。JALは大打撃を受けます。当然JALサ旅もいったん中断することに。ちなみに現在は、JALサ旅のサービスを再開しています。
そして岡本さんは2022年、イノベーション推進室への異動辞令が言い渡されました。イノベーション推進室とは、JALが築き上げた強みと、社員の潜在能力とテクノロジーの力を組み合わせて新しいものを生み出そうという部署。JALとしては、航空産業以外の、たとえばライフスタイル商品で新しい活路を見出そうとしているようです。
そこで岡本さんは普段のサウナ利用において「混雑状況がリアルタイムでわかるシステムがあれば便利」と着想。サウナを利用している方なら経験があると思いますが、扉を開けてみないと満室か分からない。中にいる人からすると、扉を開けるとそのたびに温度が下がる。ならば満室かどうかがリアルタイムで計測できれば双方にとって有益というわけです。
そこで岡本さんの上司にあたるイノベーション推進部の斎藤部長に打診。話を聞いた斎藤さんは、「岡本はサウナに魅了されているので、サウナーの人にしか分からないニーズを的確にとらえていると思いました。よく趣味を仕事にするな、と言われますが、それが逆に色々なものをダメにしちゃっていると思うんです。私の仕事は、社員がやりたい事をフィニッシュに持ち込むことです」と快諾。そこには「けれど、好きだけでしたら何もできない。今はテクノロジーがあるので、それを組み合わせればモノにできると思いました」というよう考えがあったようです。
もちろん岡本さんには勝算がありました。それは現在の「第三次サウナブーム」です。ここ数年、サウナの人気はうなぎのぼり。特に若い人の間で人気を集めています。実際、Googleの検索ワードランキングも、年々検索数が増えているのだとか。また月に1度サウナに行く人は1000万人いるという話もあり、「サウナは一時のブームではなく、ライフスタイルの一部になりつつある」と、岡本さんは分析します。これはJALにとっても「近年は若い人が飛行機を利用する機会が減っている。その若年層に対してJALがリーチできる」というメリットもあると岡本さんは語りました。それを言われたら、斎藤さんも納得するというものです。
岡本さんは、パートナーとしてアクティアを選択。アクティアはHPによると「先端テクノロジーを読み解きクライアント企業の新規事業創出・実行をクライアント企業と寄り添って実現すること」というのをスローガンとする企業。代表取締役の北野さんは、岡本さんと一緒にサウナに行き、まさに裸の付き合いでタッグを組んで、岡本さんの願いを叶えようとします。
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