週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

Galaxyシリーズが「360オーディオ録音」に対応! その仕組みを解説

2023年02月23日 10時00分更新

昨年10月に実施されたサムスンのデベロッパカンファレンスのビデオセッションに登壇したグーグルのDirector of Android Connectivity、Sathish Karunakaran氏もAndroid 13におけるBluetooth LE Audioの対応についてコメントしています

Bluetooth LE Audioの要素技術が活用されている

 360オーディオ録音が楽しめるGalaxyシリーズのデバイスは、スマホとワイヤレスイヤホンの両側が、LE Audioに対応するクアルコムによる最新のSoCを搭載しています。さらにサムスンはクアルコムと、Android 13のプラットフォームをLE Audioに対応させたグーグルと密接に連携を図りながら、ワイヤレスイヤホンによる360オーディオ録音を完成させました。

 Galaxyシリーズのスマホでカメラアプリを起動すると、ビデオ録画の際に360オーディオ録音が利用できます。左右独立型のワイヤレスイヤホンに内蔵するマイクで集めた音声を、動画の記録から遅延することなく、高品位に記録するためにはアイソクロナス伝送、マルチストリームオーディオとLC3コーデックというLE Audioの新しい技術要素が使われています。

 アイソクロナス伝送は、Bluetooth対応のデバイス間でオーディオデータが途切れないように安定させる技術です。

Bluetooth LE Audioのマルチストリームオーディオに対応。左右独立型のワイヤレスイヤホンの内蔵マイクでバイノーラル録音を実現する鍵を握る技術のひとつです

 現行BluetoothオーディオのA2DPプロファイルでは、1台の送り出し側デバイスに接続できるワイヤレスイヤホン・ヘッドホンが1台までと決められています。LE Audioでは1台の送り出し側デバイスに対して、複数の受信デバイスを1対多の関係で接続できます。これがマルチストリームオーディオです。左右独立型のワイヤレスイヤホンもL側・R側をそれぞれ1台の受信側Bluetoothデバイスとなるため、それぞれがオーディオデータを同期しながら伝送できるようになります。従来のリレー方式による左右独立型ワイヤレスイヤホンへのオーディオ伝送に比べて、レイテンシ(遅延)や消費電力が少なく抑えられるメリットもあります。

 LC3(Low Complexity Communication Codec)はLE Audioから採用されるオーディオデータの圧縮伝送技術(コーデック)です。音途切れに対する強さ、音質や低消費電力が特徴と言われています。最大48kHzのステレオ録音を扱えることから、今回Galaxyシリーズがこれを採用したそうです。

 2022年10月にサムスンがオンラインをメインに実施した開発者向け会議「SDC22」の、LE Audioに関連するセッションがYouTubeに公開されています。同社コネクティビティR&DグループのエンジニアであるYunsik Bae氏は、今回Galaxy Buds2 Proにアップデートで追加した機能は、従来のBluetoothオーディオの技術でも工夫を凝らせば実現できるものだが、「LE Audioの登場により開発コストを抑えながら、品質の高い体験をデザインできるところに魅力がある」と説明しています。

サムスン電子のYunsik Bae氏が、今後もLE Audioによりもたらされるイノベーションを積極的にGalaxyシリーズにも組み込んでいきたいと宣言しました

 Bae氏は今後も、LE Audioをベースにした新しいオーディオ体験をGalaxyシリーズに追加したいとコメントしています。例えばマルチストリームオーディオのバリエーションである、特定の通信エリア内にデジタルラジオのように配信する音声コンテンツを、ユーザーがワイヤレスイヤホンを使って聴く「ブロードキャストオーディオ(=Auracast)」や、ヒアリングエイド(補聴器)のデバイスとしてイヤホンの機能が拡張する計画があるといいます。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります