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映画も撮れるGalaxy! クアルコムとグーグルのゲストも登壇したサムスン「Galaxy Unpacked」現地レポ

2023年02月03日 12時00分更新

サンフランシスコで発表されたGalaxy S23シリーズ

約3年ぶりのSシリーズ発表会が開催
世界中からメディアが集まった

 サムスンは2月1日、サンフランシスコのMasonic Auditoriumで新製品発表会「Galaxy Unpacked」を開催した。サムスンのコロナ禍後のリアルイベントは2022年8月にニューヨークで開催されて以降2回目であり、Galaxy Sシリーズの発表会としては2020年2月以来、3年ぶりの開催となった。また例年のGalaxy Unpackedは2月中旬に開催されていたが、今回は2月1日に変更され、発売日も2月17日と大きく前倒しされている。

Galaxy Sシリーズの発表会は3年ぶりである

 オープニングムービーのあと、壇上にサムスンのモバイルエクスペリエンス事業部トップ、TM Roh(ティーエム・ロー)氏が登壇すると会場からは一斉に大きな拍手が飛び交った。新しいスマートフォンは「Meaning Innovation」「Technology for today and tomorrow」「Everyday Sustainability」の3つの点を強化して開発されており、最高のカメラ、最強のパフォーマンス、環境配慮を重視した製品になっていると説明。Galaxy S23 Ultra、Galaxy S23+、Galaxy S23を紹介した。

TM Roh氏が最初に登壇し、新製品を声高々にアナウンスした

Galaxy S23シリーズの進化点の1つは、ユーザーを向いた技術の革新

数年先を見据えたパフォーマンスの向上も計られた

サステナビリティーは、もはや企業にとって重要な課題だ

Galaxy Sシリーズは順当進化
サイズはほぼ変わらずスペックアップ

 Galaxy S23 UltraはGalaxy Noteシリーズの特徴であるスタイラス「S Pen」を引き続きサポート。「Ultra」モデルはペン入力と優れた性能を誇るフラッグシップモデルとなる。一方、Galaxy S23+、Galaxy S23はこれまでデザイン性を重視した設計だったが、背面のカメラ周りをシンプルな仕上げに変更。縦に3つならぶ円形レンズはGalaxy Sシリーズ共通のアイコンだ。

S Penに対応したハイエンドモデルに「Ultra」の名前が冠される

Ultraモデル(左)とGalaxy S23 / Galaxy S23+はカメラ部分のデザインを共通化した

 Galaxy S23シリーズのカメラは映画撮影のクオリティーを持つほどに性能が高まっているという。ブレードランナーなどを手掛けたリドリー・スコット監督や、韓国のナ・ホンジン監督が実際にGalaxy S23 Ultraで撮影した映像を紹介したが、その品質は映像だけではなく音声も含め確かに映画品質と呼べるものだった。撮影の現場からはプロ機材のカメラよりはるかに小さいスマートフォンでこれだけの映像が撮れることから、映像制作の可能性が広がることに期待する声も紹介された。

発表会で流された映像はすべてGalaxy S23 Ultraで撮影されたものだ

 Galaxy S23シリーズで最も注目すべき進化点はGalaxy S23 Ultraが搭載する2億画素のカメラだ。写真を撮影したのちに、気になる場所をクロップしても十分高画質な画像を保存することができる。また、暗い場所では複数の画素を1つにまとめるピクセルビニングで光量を増大させることが可能。夜景や夜の繁華街など明かりのほとんどない場所では16個のピクセルを1つの画素として使い、高感度な1200万画素カメラとして動作。また光の量がある程度あるシーンでは4つのピクセルを1画素として5000万画素で撮影できる。画素数の多さを感度アップに使う

2億画素で撮影すれば、一部分を切り抜いても画質はきれいだ

暗所では16ピクセルを1画素として使い、1200万画素で撮影

4ピクセルを1画素にする5000万画素での撮影モードもある

 カメラの新機能としてはExpert RAWモードが搭載された。RAW撮影をしたあと、カメラから直接AdobeのLightroomを起動することが可能だ。RAW画像をシームレスに現像、編集することが可能となり、プロ仕様の写真加工を誰もが手軽に行なうことができる。

 また、昨年のGalaxy S22シリーズから強化された暗いシーンでの写真撮影「ナイトグラフィー(Nightography)」性能も大きく高まった。高性能化されたチップセットのISP性能向上と、AI処理エンジンの最適化を行なったことで、より暗い場所での撮影も自然な明るさを表現できる。動画撮影では光学手ぶれれ補正の対応角度を2倍としたことで、ブレのないシャープな映像が撮影可能になった。

夜の繁華街の撮影比較。従来カメラ(左)よりもGalaxy S23はきれいに撮影できる(右)

光学手ぶれ補正も性能を倍増させた

 フロントカメラもナイトグラフィー性能が強化されている。2つのピクセルを1画素として使い、AIが人物の顔のパーツを個別に処理することで細かい描写もラクにこなせるようになった。フロントカメラではSuper HD動画の撮影にも対応し、縦動画も美しく撮影できる。

フロントカメラもついにピクセルビニングに対応

顔のパーツそれぞれをAIが認識し、処理を行なう

SoCはGalaxy向けのSnapdragon搭載

 パフォーマンスの面ではクアルコムがGalaxy S23シリーズ向けに最適化を行なった「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」を3機種とも搭載している。Snapdragon 8 Gen 1と比較するとCPU性能は34%、NPU性能は49%、GPU性能は41%向上しており、現時点で最も高速なチップセットとなっている。

Galaxy S23シリーズが搭載するSnapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy

CPU、NPU、GPUいずれも大幅に性能アップした

 Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxyの搭載はゲーム用途にも適しており、Galaxy S23 Ultraでは本体内部の放熱処理もべーパーチャンバーの大型化などにより高められた。ディスプレーは屋外や室内など異なる照明環境下で3段階に切り替わるVision Booster機能を搭載しており、ゲームをプレイする環境を選ばない。

本体内部の冷却機能も高められた

異なる照明下でも画面の明るさを最適化するVison Booster

もはや地球全体の命題
サステナビリティーにも力を入れる

 本体の機能説明と同じくらいの時間を割いて説明されたのがGalaxy S23シリーズのサステナビリティー対応だ。サムスンは漁師が海洋投棄した使い古しの魚網を回収し、そこから作られた再生プラスチックをすでにGalaxy S22 Ultra内部のS Pen固定部品などに採用してきた。

 Galaxy S23 Ultraではそれらの再生素材の使用比率を2倍に高めており、フレームへの再生アルミニウム、背面保護膜への再生PETなど使用箇所を広げている。また、ディスプレーを守るCorningの「Gorilla Glass Victus 2」は耐落下性や耐摩擦性強度が2倍になっただけではなく、再生ガラスが22%採用されている。

海洋投棄プラスチックは特に魚網の回収、再利用に力を入れている

再生素材の利用率を2倍に高めた

 Galaxy S23シリーズはグローバル市場で2月17日から発売される。Galaxy S23 Ultraは1199ドル(約15万4000円)から、Galaxy S23+は999ドル(約12万8000円)から、Galaxy S23は799ドル(約10万3000円)からとなる。なおこの価格はGalaxy S22シリーズと同等であり、性能は上がったが価格は据え置きとなった。昨年モデルのGalaxy S22は699ドル(約9万円)に値下げされ、ラインナップとして引き続き販売される。

ゲーミングにも対応する
高性能なノートPCも発表

 さて、発表会ではノートPCの新製品としてインテル第13世代プロセッサを搭載する「Galaxy Book3 Pro」シリーズも発表された。ディスプレーが360度回転する「Galaxy Book3 Pro 360」はSペン入力にも対応するタッチディスプレーを搭載している。さらにGalaxyシリーズのスマートフォンやタブレットとの連携も特徴だ。スマートフォンのカメラで撮影した画像の自動転送、スマートフォンとPCのブラウザー間での同じウェブページの閲覧、文字やグラフィックの端末間でのコピー&ペーストなどGalaxy S23シリーズをGalaxy Book3 Proのコンパニオンとして使える。また、Galaxy Tab S8をGalaxy Book3 Proのセカンドディスプレーにすることも可能だ。

Galaxy Book3 Proシリーズも2月17日の発売で、価格はGalaxy Book3 Proが1249ドル(約16万円)から、Galaxy Book3 Pro 360は1399ドル(約18万円)からとなっている

スマートフォンと様々な機能がシームレスに連携する

スペシャルゲストも登壇!

 すべての新製品発表が終わったあとで、特別ゲストとしてクアルコムのCristiano Amon CEO、グーグルのHiroshi LockheimerシニアVPが登壇。TM Roh氏と3社で次世代MRの共同プラットフォームの開発を発表した。クアルコムのチップセットやモデム技術、サムスンのハードウェア、そしてグーグルのソフトウェアの3者が一体となり、VRからAR、そしてMRへと複合現実技術を開発し商用化を進める考えだ。

左からクアルコムのアモンCEO、サムスンのモバイル部門トップのロー氏、グーグルのヒロシSVP

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