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メインフレームは、長い歴史を見てきた「老人」ではない、日本IBM

2023年01月30日 13時00分更新

今回のひとこと

「メインフレームの中身は、この10年で大きく変わっている。PL/IやCOBOLで書かれたレガシーアプリケーションが稼働しているだけがメインフレームではない」

(日本IBMの山口明夫社長)

先端半導体だけでなくメインフレームへの投資も進めるIBM

 米IBMは、ニューヨーク州のハドソン川流域で、今後10年間に、200億ドルの投資を行うことを発表している。これを発表した2022年10月時点が、急激に円安が進展したタイミングだったこともあり、日本では3兆円の投資規模として報道されて話題を集めた。円高に振れた現在でも「3兆円投資」という言葉は残っている。

IBMのメインフームであるIBM z16シリーズ

 この投資対象は、Rapidusとの戦略的パートナーシップで話題を集めた2nmによる半導体技術や、2025年は4000量子ビットを実現する量子コンピュータ、脳の神経細胞や神経回路網を模倣したニューロコンピューティングによるAIの進化といった最先端テクノロジーが対象となっており、テックカンパニーであるIBMが、中長期的に、テクノロジーに対して、積極的な投資をしていくことを示した格好だ。

 だが、注目しておきたいのは、この投資対象のなかにメインフレームが含まれているという点だ。つまり、IBMでは、半導体、量子コンピュータ、ニューロコンピューティングと横並びで、メインフレームにも積極的な投資をする姿勢を明らかにしているのだ。

 富士通が、2030年度にメインフレームの販売を終息し、2035年度にはメインフレームの保守を終了することを発表しているのとは、まさに対照的な方針だといえる。

 日本IBMの山口明夫社長は、「メインフレームは、いまが一番の伸び盛り。人間に例えれば、10代の若者が、成長痛になるような驚くべき成長を遂げている」と、ユニークな比喩を用いる。

 実際、IBMのメインフレームであるIBM Zの実績を見ると、山口社長の比喩が現実的なものであることがわかる。

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