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これからの快適・省エネは「人単位」パナソニック新会社X PLACEの挑戦

2022年12月22日 11時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita) 編集●ASCII
提供: パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社

パナソニックはモノからコトへ変革しなければならない

── そもそもの話として、なぜエレクトリックワークス社が新会社を作る必要があったんでしょうか。

北村 大きくチェンジワークしていかないといけないということです。パナソニックはいままでモノでかわいがってもらっていて、特にエレクトリックワークス社は設備系で堅調に進んできたものの、新しいビジネススタイルにチャレンジすべきタイミングだった。そんな中で空間ソリューション事業を立ち上げ、お客様一人ひとりの課題に向き合うソリューション型のビジネスモデルを目指しています。オフィス向けソリューションや「WELL認証」取得サポートのサービスをきっかけとして、テナントオーナーさんとも直接話しながらビジネスをするようになった結果、テナント側から見た顧客価値を聞くことができるようになってきました。

WELL認証

米Delos社が2014年に開発した建築物の空間評価システム。効率的なスペースの使い方、生産性を向上させる仕組みといった人間工学的な側面の評価だけではなく、その空間で過ごす人間が健康なこと(ウェルネス)を重視している。

パナソニック東京汐留ビルは「WELL Health-Safety Rating」を取得している

── 売るものは電材だけど、提案の仕方が変わってきた。

北村 そうです。現業をチェンジするわけではなく、売り方を変える。新築ビルに照明器具等のモノだけを届けるというやり方を変えようとしているわけです。

── 製品側としてもソリューション志向に切り替わっているんでしょうか。

北村 パナソニックとして進めているのは、設備系のクラウド上に連結するところはすべての口を開けていこうということですね。Aの設備だろうが、Cの設備だろうが、クラウドに口を開けるようにしようと。そこさえ開通していればクラウド上でAPI連携させて、スマホベースで動かせるわけですから。

ビルのABC工事

ビルの内装工事は発注者によってA・B・Cの3つに分かれる。ビルオーナーが把握できるのはA工事とB工事まで。C工事で追加された設備はビルオーナーが制御できない。
A工事:ビルオーナーが発注、オーナー指定業者が施工。
B工事:入居者が発注、オーナー指定業者が施工。
C工事:入居者が発注、入居者指定業者が施工。

── そのときに入居者が入ってくるのが新しいですよね。最近はビルのDXとも言いますが、大抵ビルオーナー目線のDXですし。

北村 X PLACEはスマホのワーカー属性情報を使って空間をアクチュエーションしていけるのが大きいんですよ。それがないとビル管理側のマネジメント域から抜けて、顧客価値の提供側へと大きく変われないので。

── 入居者側が設備を替えても、システム側に自動的に連携して、ビルオーナー側にも見えるというのが肝ですね。

北村 オフィスの中ではいまC用の照明が増えてきているんですが、それがビル側からは管理されていないんですよね。制御系としては、AとCが一緒にならないとビル全体のマネジメントができていることになりません。今後はそれが大きく変わっていかないといけないところなのかなと思います。

── エネルギーマネジメントの視点で言えば、ビル全体としてZEB基準を達成していたとしても、入居者側の設備次第で辻褄が合わなくなるということもありそうです。

北村 テナントさんがワーカー目線で使ってしまうと、最終的にやっぱり建物全体のエネルギーは上がってしまって、ZEBも本来実現できなくなってしまう。建物としてのエネルギーはここ数十年頑張って削減できてきましたが、次の一手となると、住まわれている人の事情をわかっていないと難しい。そのためには今からやっていかないといけない、ということですね。

── ただのモノ売りから脱却しないとそこには到達できないと。

北村 たとえば空調と照明を連携させたアプリケーションを作るのもパナソニックの役割なんですが、それをただ一辺倒に商品に組み込んでやっていくような世界観というのはもうないなあと。外部環境も変わるし、住んでいる人間も変わる。人起点で考えれば多種多様に好みが違う。そこをていねいにやるのが今後重要になるだろうと。もう1つ、新設のものだけでなく既設の設備もアップデートをかけられるような仕組みも作っていかないといけませんよね。ビルで言えば、中央監視を含めたバックネットでつながっているので、そこにクラウド側から情報を流し込む仕組みができればと思っています。

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