M2チップを搭載しMacBook Proに肉薄する12.9インチモデル
【レビュー】M2搭載iPad ProはMacBook Proとも競える性能をベンチマークテストで実測
今年のiPadの新製品は、春先に登場したiPad Air(第5世代)と、この秋に発売された2つのサイズiPad Pro、そして新しいiPad(第10世代)の合計4機種となった。すでに新しいiPadについては「【レビュー】新iPad(第10世代)は「iPad Air」の普及バージョンだ」で述べたので、ここでは、最新iPad Proの12.9インチモデル(第6世代)を取り上げる。この秋のiPadの新製品とともに登場したiPadOS 16については、改めて別記事で取り上げる予定だ。
M1からM2への進化がもたらすもの
今回のiPad Proのアップデートは、マイナーなものだと感じている人も多いだろう。事実、前世代のモデルと外観によって区別するのは非常に困難で、機能的にもほとんど変わらないと言っていい。大きく変わったのは心臓部のチップがM1からM2に進化したことくらいだ。iPad Proの最大のウリはパフォーマンスにあると考えれば、最も重要な部分がアップグレードされたのだから、これは意義の大きな変化ということになる。
とはいえ、2021年5月に登場した第5世代から、約1年半後に発売する新モデルのアップデートとしては、M2チップ以外、特に大きな変更は施されていないのも確かだ。アップルとしては、M2の採用以外に、現在のiPad Proに求められる改善点は特にないと判断したとも考えられる。逆に言えば、それだけ第5世代のiPad Proの完成度が高かったことになる。
メインのチップをM1からM2へ変更するのは、さらなる性能向上を狙ったものには違いない。それでも、M2によってもたらされるのは、単なる性能向上にとどまらない。たとえば、ProRes、およびProRes RAWのハードウェアによるエンコード/デコードは、M2に内蔵のメディアエンジンによって可能となった。それによって、ビデオ撮影時にProResエンコーディングによる録画が可能となっている。
一方、スペックを細かく比較してみると、M2チップの採用とは直接関係ないと思われる機能、性能の向上も確認できる。それはディスプレイと、カメラの2点にある。
ディスプレイでは、iPadとして初めて「Apple Pencilによるポイント」機能が実現した。名前だけでは何のことかわからないが、これはApple Pencil(第2世代)のペン先を画面に近づけると、ペン先が画面に触れる前に、ペン先から最も近い位置の画面上にポイントが表示されるというもの。マウスのポインターのようなものと考えればいい。実際にペン先が画面に触れるまで描画などはできないが、事前に描画位置を正確に知ることができる。実測では、約12mm以下の距離に近付けると反応した。
もう1つのカメラは、背面のメインカメラ、フロントカメラとも、従来の「写真のスマートHDR 3」から「写真のスマートHDR 4」へと、バージョンがアップしている。これは、撮影後の画像処理によるものなので、カメラモジュールというよりも、M2チップによる性能向上によって可能となったものかもしれない。
また、ほとんど見落とされがちだが、1つだけ削られた機能もある。それはCellularモデルのGSM/EDGE対応が削除されたこと。ファームウェアの変更によって機能を停止しただけかもしれない。いずれにせよ、この変更によって困る人は、現在ではほとんどいないはずだ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう