【写真家アドバイス】iPhone 14 Pro Maxの性能を120%生かす撮影テク
夕焼けといったコントラストが強い状況は、HDR(ハイダイナミックレンジ)処理でさらにフラットになりやすい。印象的な風景をきれいに撮れず、モヤモヤした経験のあるiPhoneユーザーも多いはず。こんなときこそRAWだ。ちなみに水平が傾いていたので、それも補正している
しかしiPhone 14 Pro/Pro Maxではその完璧過ぎてしまい、さらに露出がやや明るめということもあって、のっぺりとした印象を受けやすい。そこで下の2例は現像時に周辺を大きく落とし、ダイナミックに仕上げてみた。どちらも空が広く写っているので効果がよくわかると思う。
そのままでも色彩感はあるが、のっぺりとしているし、もっと深みが欲しかった。そこでちょっと強めにレタッチ。遠景だが立体感が生まれた。明部・暗部ともしっかり粘っており、最新のミラーレス機で撮ったといっても誰も疑わないだろう
あまりにも滑らかに撮れる「アクションモード」
また少しだけ動画も試してみたが、「アクションモード」はあまりにも滑らかに撮れるので驚きを超えて笑ってしまった。オンにすると撮影した画像の中心部を切り出し、重ね合わせることで見た目上のブレを軽減させる。この仕組み自体はすでに多くのミラーレス機やアクションカムで採用されているが、画角が大きく狭まるのが難点だった。ところがiPhone 14 Pro/Pro Maxでは逆に画角が広がるのだ。もちろん超広角カメラに切り替えているのだが、画質はそれを意識させないほどきれいだ。
ノーファインダーでとりあえずレンズを子供に向けることだけを意識。かなり揺れていたはずだが、まるでジンバル(カメラの揺れをモーターで補正するアーム)を使って撮影したかのようだ
iPhone 13シリーズから搭載されている「シネマティック」も進化している。いわば動画向けのポートレートモードなのだが、静止画では細かいエラーが気になりがちなボケの処理も、動画では動きの方に意識が向くのであまり気にならない。ピントも人物や動物を自動的に認識。複数人が現れる状況でも、常に主役が誰かを判断してくれる。「違うよ」というときは、ピントを合わせたい部分にタッチをすればよい。
iPhone 14シリーズから4K/30fpsで撮影できるようになったが、取り回しが大変そうなのでHD/30fpsで。でもパソコンやスマホで見るなら十分だ。24fpsで撮影するとかっこいいドキュメンタリーのような映像になるのだが、4Kでしか選択できず。まあ24fpsを選ぶような人は4Kでしょ、ということか
今回は試用したiPhone 14 Pro MaxにSIMを挿さず、基本的にカメラ機能しか使っていない。iPhoneは機種間の移行が極めて簡単なので、SIMを挿して一時的に使ってみようかとも思ったが、11 Pro Maxに戻れなくなりそうな気がして自制した。
少しばかりいろいろな機能を触ってみたが、iOS自体の進化もあって各機能が洗練された印象を受ける(iOS 16の切り抜き機能はもうちょっと洗練してほしいけれど)。
この原稿を書いているMacBook Proも8年くらい使っていて、さすがにそろそろ買い換えたいのだが、今買い換えるならMacBookよりもiPhone だよなぁ……と思わせる14 Pro Maxだった。撮れる画像・映像の質が格段に高く、これで新しい表現にトライしてみたくなる。
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