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Meze Audio、Dan Clark Audio、そしてxMEMSのイヤホン試作機

ヘッドフォン祭の裏で実施された海外イベント「CamJam SoCal」

2022年09月26日 15時00分更新

 日本でヘッドフォン祭で賑わっている中、海の向こうのロサンゼルスでは「CanJam SoCal」でやはり賑わっていた。SoCalはSouth Californiaの通称でロサンゼルスを中心とした南カリフォルニアのことだ。Head-FiのイベントであるCanJamの中でも最大規模のもののひとつである。本記事ではHead-Fiの記事や動画の中から見つけた、国内未紹介のオーディオ製品をいくつか取り上げる。内容は海外発表を元にしている。

Meze Audio「109 PRO」

 「109 PRO」は、Meze Audioを一躍有名にした「99 CLASSICS」の系列であり、その進化系とも言える製品だ。Head-FiのJude氏も"音質は大きく向上した"とCanJam紹介動画の中で語っている。もともとMeze AudioはHead-Fiのフォーラムで99 CLASSICSの評判が良いので、世界的に知られるようになった経緯がある。109 PROは開放型となり、新設計のドライバーを搭載。このドライバーはベリリウムコートポリマーとセルロースカーボンファイバーの複合材を使用した、直径50mmのDual-Composite振動板を採用している。

109 PRO

 また、Head-FiフォーラムのCanJam来場者コメントを読むと「1000ドル以下ではベストな音質」「期待以上によかった」などやはり高評価が並んでいる。海外価格は799ドルだ。

Dan Clark Audio「EXPANSE」

 「EXPANSE」は、本連載でも紹介した「STEALTH」を開放型にしたものと言える。Dan Clark自身がHead-Fiフォーラムの紹介動画の中で「STEALTHと比べて少しスリムで再チューニングしているが、ほぼ同じものだ」と語っている。

EXPANSE

Expanse紹介するDan Clark氏(Head-Fi動画から)

 平面磁界型のヘッドホンでSTEALTH同様、ATMS(Acoustic Metamaterial Tuning System)を採用している。ATMSは多孔タイプのフィルターで、いわゆるアコースティック・メタマテリアル技術をヘッドホンに応用したものだ。Dan ClarkはATMSについて「基本的にAMTSはピークやディップをコントロールするもので、ヘッドホンごとに異なるため、EXPANSEでも異なる形で搭載されている」と解説している。

ヘッドフォン祭の会場で撮影した写真(撮影:佐々木喜洋氏)

 実は先週末のヘッドフォン祭でもHead-Fiメンバーの有志が参加して、Dan Clarkから貸与されたEXPANSEを会場に持ち込んでいた。私もそれを実際に聴かせてもらったのだが、たしかに音質は素晴らしい。そして個性的だ。音の広さは開放型だが、低音が密閉型のように重くパンチがあり、不思議で魅力的な音でもある。STEALTHはこの逆で、密閉型だが音は開放型を思わせる軽やかな音なので、これらの特徴はATMSの効果なのかもしれない。Head-FiフォーラムのCanJam来場者コメントでも「今回の製品ではベスト」など音質評価は大変高い。海外価格は3999.99ドルだ。

xMEMSの試作モデル

 本連載でたびたび紹介してきたMEMSスピーカーの技術が、Head-Fiの世界にようやくやってきた。

 MEMSスピーカーを開発しているメーカーの一つであるxMEMSは、イヤホン試作機を前回のCanJamロンドンにも持ち込んでいた。写真はCanJamロンドンのものだが、担当者が手に持っているのがMEMSスピーカーを切り出したシリコンウエハーなのだろう。MEMSスピーカーとは、ICのようなシリコン製のドライバーである。シリコン製だが音を出すための可動部があるのがMEMS技術の特徴だ。

 xMEMSのイヤホン試作機は、3Dプリンターで筐体を作成した試作機然としたものだが、中身(音質)の評価は大変高い。Jude氏は「大変素晴らしいデモで、解像力がとても高く感じられた」と語っている。Head-FiフォーラムのCanJam来場者コメントでも「解像力と音のセパレーションが大変高い」という評価を受けていた。

 MEMSスピーカーの発音体の部分は圧電型なので、おそらくはピエゾ型ドライバーに近い音なのではないかと想像できる。いまだ製品化には至っていないが、今後の展開が楽しみな技術である。

 今回も興味深い出展が多々見られたCanJamだった。日本でもこうした製品を見られる日が早く来てほしいものだ。

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