VRのビジョンめぐり社内対立
当時のフェイスブックは創業者のパルマー・ラッキーとともに当時のオキュラスを20億ドルで買収しました。しかし当時のインタビューを見るとザッカーバーグはオキュラスが主力と位置づけていたゲームに高い関心を持っていたわけではなかったようです。
パルマー・ラッキー(写真は2015年のもの) eVRydayVR
パルマー自身はゲームの中に入れるVRデバイスを安価に作ることに情熱を注いでいましたが、ザッカーバーグはスマホやパソコンなどと同じようにニュースなどを見るような生活の一部に入り込むデバイスというビジョンを持っていました。
安価なゲーム機をVRとして提供することでイノベーションが起きることに期待したパルマーと、より自社がコントロールしやすい汎用的なデバイスを目指したザッカーバーグ。ビジョンのズレがある中、最初期のオキュラス開発チームは解体され、最終的にはパルマーも追い出されてしまうことになります。
そうした中でVRの方針をめぐる社内対立が起き、Oculusの製品ラインアップは非常に混乱してしまうことになりました。
2016年にパソコンに接続するタイプのVRデバイスである「Oculus Rift」を出した後、2018年には一体型で価格が安い「Oculus Go」を出しました。さらに翌年の2019年には、やはり一体型の「Oculus Quest」を開発しています。同じOculusで3つの生産ラインが出るという非常にいびつな構造になっていました。
そして皮肉なことに、Oculus Riftのころは自社のOculusストアからアプリを買う人がいなかったんですよね。なぜかというとSteamで動いたから。
Oculusは利益を出せないギリギリのラインでハードを作っていて、本来ならソフトで売上を出さないといけないのに、ストアの売上げはSteamに持っていかれてしまう。それならばとSteamでソフトを買えないようにするという案を出したら、今度はコミュニティからの猛反発にあって引っ込めざるをえなくなりました。
初期はそういうバラけた戦略だったため、VRをやればやるほど赤字という地獄のような状態になってしまいました。
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