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基幹システムをkintoneで構築して中小企業を元気にしたい!

kintone上で完全動作する統合型ワークフローを開発したアイティーフィットのねらい

2022年08月03日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水 写真●永山亘
アイティーフィット

 2015年からkintone関連のサービスを提供しており、当時から基幹業務システムを構築する支援を行なっているアイティーフィット。kintoneの機能が進化し、サイボウズのパートナー企業が増えた現在では基幹業務をkintoneで構築する企業は増えているものの、7年前から基幹業務システムを専門に手がけているのは珍しい。アイティーフィットの代表取締役の小沢広文氏と取締役 福住仁志氏に話を聞いた。

中小企業をITで元気にしたい たどり着いた先のkintone

 アイティーフィットの創業は2010年1月。代表取締役の小沢広文氏は、それまでメーカー系ソフトウェア専門企業で18年間働いていた。前職でもシステム開発を手がけていたのだが、顧客は中堅以上の大手企業がメインとなっており、中小・中堅企業だとITシステムの開発を外注する予算を確保できないところが多かった。しかし、中小企業をITで元気づけたいと考えていた小沢氏はITコーディネータ-の資格を取得したことがきっかけで、独立した。最初は個人事業主という形でスタートしたが、すぐにアイティーフィットを設立することになった。

「kintoneが本格的にサービスを展開しはじめたのが2013~14年ですが、実はその前に創業しています。 2010年ごろは海外製のSFAが普及し始めており、弊社も当初はその製品の開発をしようと考えていました。しかし、その製品のライセンス料は中小企業には支払えないほど高いため、ターゲット層と合わないソリューションを扱おうとしていることがわかりました。そんな中、試行錯誤している間にkintoneと出会ったのです」(小沢氏)

アイティーフィット代表取締役 小沢広文氏

 商工会議所のイベントでkintoneのブースに立ち寄った小沢氏はいろいろと説明を聞くうちに面白そうだとピンと来た。当時は、APIもなくJavaScriptでの開発もハードルが高いうえ、「kintoneってリレーショナルデータベースではないですね」などと言われていたという。しかし、小沢氏は時間が経てばkintoneのハードルは低くなるはずだと予見し、販売管理システムの開発に着手。追って在庫管理システムも開発した。

 2015年当時、kintoneは日報などに使われ、基幹業務の深いところで使うという事例は少なかった。そんな中、基幹業務システムを提供しているアイティーフィットは注目を集め、サイボウズパートナーとしてその年のサイボウズアワード特別賞を受賞している。

kintoneを中心に基幹システムを構築 「コンサルティングを形にする」

 アイティーフィットはコンサルティングを形にするというコンセプトが特徴だ。kintoneの業務アプリだけでなく、クラウド会計システムのスペシャリストでもある。kintoneと様々なクラウドサービスを連携させて、全体として基幹業務システムを構築している。

 kintoneをはじめ様々なクラウドサービスを活用しようと考えている企業は多い。それぞれはとても便利ではあるのだが、統制が取りにくくなるというデメリットもある。また、データが各クラウドサービスに散らばってしまい、何かを見たい時に、いろんなサービスを開かなければならないという状態になっている。

「そういった中でベースとなるクラウドサービスを決めるべきで、弊社ではkintoneがいいと考えています。kintoneを中心に据え置き、たとえばクラウド会計や電子契約サービスなどの専門サービスを組み合わせていくのがコンセプトです」と語ってくれたのは取締役の福住仁志氏。

アイティーフィット取締役 福住仁志氏

 複数サービスを組み合わせることで、ビジネス形態や企業規模が変化したり、新しいクラウドサービスが登場したときに、ニーズに合わせて自由にカスタマイズできるようになる。連携サービスは変化しても、kintoneをベースに構築していれば、データはきちんと集約される。kintoneの得意なところと専門クラウドサービスの得意なところを切り分けて業務を整理してあげることが1番重要だという。

 また、kintoneはイチからアプリを作れるのがメリットだが、裏を返せば、ユーザーがイチからアプリを作らなければならない。販売管理システムと一言で言っても、すべての機能をスクラッチで作るハードルは高い。

「そこで、弊社ではkintoneをベースにしたアプリパッケージを開発して、提供しています。販売管理では「販売9+」、在庫管理では「在庫10+」という製品です。kintoneのスタンダードコースを契約していれば、アプリをダウンロードすることで即日使えるようになっています」(福住氏)

 汎用的な販売管理機能は組み込まれているので、まずは業務で使ってみて、フィットする部分はそのまま使ってもらう。そして、ギャップが出た部分だけをカスタマイズしていくことで、イチからアプリを開発するよりも格段に早く、コストも抑えて仕上げられるというメリットがある。この基本となるアプリパッケージを持っているのが、アイティーフィットの強みと言える。

システム開発に現場の意見を反映させるフィットアンドギャップを重視

 販売管理や在庫管理の領域から手がけた理由は、会社に必ず必要なシステムだと考えたからだそう。

「販売管理を行なっていると、会計システムまで連携させ、ワークフローにつなげたくなります。最近ではそこからさらに電子帳簿保存法に関わるソリューションも用意しています」(小沢氏)

 たとえば、月次処理を行なう場合、kintoneの画面の上から順に処理していくため、今何番目を作業しているのかが知りたくなる。しかし、kintoneでレコードをクリックすると詳細画面が開いてしまい、今何番目なのかがわかりにくくなる。そこで、「サブ画面表示」機能を開発し、一覧を固定表示したままサブ画面に詳細を出し、次々と処理できるようにした。

 何から何まで用意しているようにも見えるが、実は他社が手がけている検索プラグインなどには手を出していない。他社が手がけているところは、そちらを使ってもらえればいいそう。すでにいいプラグインがあるレッドオーシャンに入っていくより、ブルーオーシャンの部分で中小・中堅企業のIT化を進めていくという。

 しかも、アイティーフィットはシステムの提供だけでなく、最終的な稼働まで一気通貫でサポートするのが特徴だ。一般的なコンサルティング会社では上流工程だけ手がけて終わってしまい、開発したものを現場が触ってみると、作り直しというケースが多い。システム開発には現場の意見を反映させるのがもっとも重要なので、アイティーフィットはフィットアンドギャップで形にするということをテーマとしている。


kintoneの弱みを補う統合型ワークフローに注力

 現在、アイティーフィットはkintoneの「統合型ワークフロー」に注力している。kintoneのプロセス管理では実現できない複雑な機能を備えており、1ユーザー当たり月額300円から利用できる。

「kintoneは人から人にワークを渡す機能が弱いんです。アプリをまたいでタスクを投げられないので、ワークフローが必要になると考えました。「統合型ワークフロー」はkintoneと連携するワークフローシステムではなく、完全にkintone上で動作するワークフローという点が特徴です」(小沢氏)

 たとえば、稟議から支払いを行なうワークフローがあった時に、稟議アプリで稟議が通ってから、支払いアプリで支払いのレコードが登録される、という流れを構築しなければならない。そんな時、kintoneの標準機能では無理だが、「統合型ワークフロー」なら問題なく構築できる。

 1つのアプリで多段階ワークフローを組むこともできる。例えば、旅費精算で事前申請があり、その後、事後承認を行なうケースだ。事前申請で通ったものに対して、事後の申請を行なうという、1レコードの中で2回承認するケースにも対応する。

 「統合型ワークフロー」もアプリとプラグインで構成されているので、既存のアプリに設定することですぐに使えるようになる。中心となるのが「kwfワークフロー」アプリで、各種申請アプリからの申請が集約されるのだ。承認者は「kwfワークフロー」アプリを開くだけで、自分が承認しなければならない申請を一覧画面ですべてチェックできる。

kintoneを中心にした統合ワークフローの全体像

 kintoneのプロセス管理でも通知機能にすべての申請通知が届くが、様々な通知の中に埋もれてしまうこともある。「kwfワークフロー」アプリなら一覧画面で閲覧できるので迷わず作業できる。また、kintoneの標準機能では、操作履歴をCSVで出力することができないので、別の履歴アプリに記録しているのもポイントだ。これによりCSVで証跡を出力できる。これらが、「統合型ワークフロー」を開発するきっかけになっている。

「4年ほど前、お客様のシステムを開発している時に、監査法人から証跡が取れているかと言われたのです。ではGaroonを入れようとなったのですが、承認の証跡がCSVで吐き出せなかったので、監査法人からNGが出ました。上場を視野に入れていると、そんなところも支援する必要があります。そこで、kintone上で動作するワークフローを作ろうと考えたのです」(小沢氏)

 また、「統合型ワークフロー」ならシステムのメンテナンスコストを押えられるというメリットもある。もし、外部のワークフローシステムと連携する場合、従業員の役職が変わったり、アクセス権限がなくなったりしたときに、kintoneとワークフローシステムの両方をメンテナンスしなければならない。もしワークフローが複雑に組んである場合、メンテナンスが煩雑化し、変更漏れが起きる可能性がある。その点、「統合型ワークフロー」はkintoneの組織や役職の情報を利用しているので手間がかからない。

「クラウドサービスを組み合わせて使うのが当たり前になっていますが、その中でフローが止まってしまうことがあります。たとえば、kintone側では承認が下りているのに、会計システム側でその申請を上げるのを忘れていて、支払いが遅れてしまうといった具合です。クラウドを組み合わせているのに、動的に連携してないのです。そこの部分を統合型ワークローを使うことで、その次のワークまで起こしてしまう点が、ほかのワークフローシステムとは違う一歩踏み込んでいるところだと思います」(福住氏)

kintoneをすでに使っているユーザーからの問い合わせが多い

 アイティーフィットには現在、さまざまな業種、業界から問い合わせが寄せられているという。同業であるIT企業からも販売管理が欲しいと問い合わせが来ることもある。当然、ほとんどがkintoneをすでに利用している企業が多く、中には、アプリはある程度自分で作っていて、知見や技術が足りないので相談に乗って欲しいという問い合わせもある。いち早くkintoneでの基幹システム構築を手がけているアイティーフィットだからこその高い技術と豊富なノウハウが信用の礎となっているのだろう。

 最後に、今後の展望について伺った。

「以前はAPI連携や自動化、セキュリティなどを求められていたのですが、近年はkintoneと専門クラウドをつなげる際の業務の整理や、ワークフローによるルール化と可視化などが求められるようになってきています。そういった変化するニーズに対応していこうと考えています」(福住氏)

「お客様の内部統制や上場に対して、われわれの製品がお役に立てればと考えています」と小沢氏は締めた。

(提供:アイティーフィット)

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