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Astell&KernとCampfire Audioの独創的なコラボ、「PATHFINDER」を聴く

2022年07月25日 13時00分更新

情報量、空間、音色、どれかひとつに絞り込めない特徴あるサウンド

 試聴機を入手できた。デザインはやはりCampfire Audioの影響が感じられ、「SOLARIS」の系統に思える。ただし、マルチドライバーの割にはコンパクトで装着感も悪くない。筐体には不要な共振を抑える切削加工のアルミニウムシェルとステンレスパーツが採用され、アルマイト処理による漆黒の「Night Sky」カラーとなっている。

アルミニウムシェル

 付属のケースにもCampfire Audioらしいポーチが付いている。中にはソフトケースに包まれてフォームチップ、シリコンチップ、type Eのイヤーピースが付属している。付属ケーブルはSTAXのケーブルのように平たいので巻きやすく、絡みにくく、取り回しもしやすい。タッチノイズも少ない印象だ。

付属品

フラットにまとまったケーブル

 PATHFINDERのサウンドは圧倒的な高音質であると同時にとても個性的である。

 マルチドライバーとは思えないほど音にまとまりがあり、空間が広く、ピンポイントに楽器の音像が浮かんでくる。音場の広さだけでなく、独特の開放感があって、窮屈さがない開けたサウンドを楽しめるのが特徴的だ。

 ハイエンドイヤホンらしく、解像力がとても高く、細かな音もよく拾う。アコースティックの楽曲を聴くと楽器音自体が美しく澄んで透明感が高いのがわかる。中高域はシャープでよく伸び、パーカッションやドラムスが加わるとパワフルで切れ味が鋭い低域に驚いてしまう。重厚で軽快という相反する特徴が共存した、不思議な音の感覚が味わえるのだ。

 また、ボーカルには深みがある。中音域がとても魅力的だ。高域も低域も主張が強く派手だが、それでもボーカルは埋もれずに明瞭に聴こえてくる。音の要となるのは、どんな再生機器でも中音域だが、ここに採用されたKnowlesの新型デュアルダイアフラムドライバーの効果が際立っているようだ。普通のBA型ドライバーは音が薄く感じられものだが、PATHFINDERでは音が濃厚で、鮮明に浮き上がって聴こえる。ダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーのいいところ取りをしているようにも感じられる。

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