床をすべてぶっ壊して新たに杭打ち
あとは杭を打ちましょうと。
── 杭と言うと?
この建物自体が軽いんです。地震よりも強風等構造設計者が検討した結果、倒壊する可能性がある。それで今さらになって杭を打とうと。
── 建物って普通は杭を打って建てますよね。それがなかったんですか?
仮の300角程度のH鋼材は打設されていますが、本設にはなかったんです。だから低空頭(場所打ち杭)の機械を入れて打ちなおした。
── 当時はただそこに建物が置いてあったということですか?
ひとつには地盤がそんなに悪くなかったということもあるんですが、私は50年も使おうなんて考えず、日本の復興のために作ったものだったと思います。
── 要するに勢いで作ったものだったと。
色々文献を調べるとそうではなかったかと思いますね。
── そこで今さら杭を打つことになった。どうやって打ったんですか?
地面を掘り、その中に鉄筋のかごを入れてコンクリートを流し込んで杭を打っています。
── 打った杭と、上物をつながないとダメなわけですよね。
おっしゃるとおりで、壁なんかを立ててそこで定着させるわけです。それで鉄筋かごというものを、26メートルくらいかな、10本くらいつないで。杭打ち機は高さ2.9メートルくらいなので、掘ったら(鉄筋かごを)ジョイント、掘ったらジョイント、という方法でやっていきました。よくJRの駅舎で杭を打つときに使う方法です。
── へぇー、そうなんですか。というかさらさらと語られてますが、そんなに簡単なものではなさそうですよね。
いや、すごい状態ですよ。やっぱり狭い中でやらなきゃいけないので。たとえばここ、もともと床だったんですよ。
── 写真では何もないですけど、ここに床があったと……。
機械はキャタピラ式で、段差があったら動かないので、まず床をまっすぐにするためすべてぶっ壊したんですね。それで平らな床を作って、そこに機械を持って行ったんです。壁があったのも一回全部壊してます。
── すごい。ほとんどトンネル作業ですね。
掘削も1.5メートルの筒をつないで、最後にコンクリ打ち。だから1本打つのに4日かかってるんですよ。
── それを何本くらいやるんですか?
合計43本くらい。170日以上かかってるんです、実働で。杭を打ち終わったら復旧して、杭と既存の壁を一体化させるために、壁をまた作って。
── すごいですね……。
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