アップル幹部に聞くヘルスケアの新機能「視力」が登録できるようになる意味とは?
デバイスが薬を飲む習慣を管理する
次期watchOSとiOSのヘルスケアアプリには「服薬」という新機能も加わる。デバイスのユーザーは服薬リストを作り、薬を忘れずに飲めるようにスケジュールとリマインダーを設定したり、薬の詳しい情報の追加、服用履歴の確認などがアプリ上で行えるようになる。
米国のユーザーはさらに、iPhoneのカメラを使って薬のラベルをスキャニングして服薬リストに登録したり、薬どうしが重大な相互作用を引き起こす可能性がある場合は通知を受け取ることもできる。この機能の背景にも医学研究により得られる膨大な知見と、データ解析のテクノロジーがあるとディサイ博士が説いている。
ヘルスケアに「視力」を登録する理由
2022年のWWDCのオンラインセッションにも、HealthKitの様々な新しい機能の使いこなし方をデベロッパーに向けて紹介する動画が公開されている。
動画から、ユーザーの「視力(Visual Perscription)」の測定結果をヘルスケアアプリに登録できるようになることも明らかにされた。この機能の目的をついてウィリアムズ氏に聞いた。
「すべてヘルスケアアプリのユーザーができる限り多くの情報を登録して、必要な時に使える仕組みを提供することが大切であると考えています。視力を登録する機能も同様の目的により追加されるものです。今後様々な用途に展開できる可能性もあると考えています」
視力に関するヘルスケアのデータは、例えばメガネ型ウェアラブルデバイスを手がけるデベロッパーが、これをユーザーから同意を得た上でアプリやサービスの開発と機能改善などに役立てることもできそうだ。秋に“アップルのスマートグラス”に関連する何らかの発表があるのだろうか? 期待を高めながら待ちたい。
iOS 16以降はiPhone単体でも、内蔵するモーションセンサーを使って歩数や移動距離、上った階数、消費したカロリーなどフィットネスに関わる測定値を収集して、ヘルスケアアプリに保存、記録が見られるようになる。Apple Watchを持っていないユーザーも自分の健康に対する意識を高められそうだ。ヘルスケアのエコシステムもますます強固なものになるだろう。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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