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アップル幹部に聞くヘルスケアの新機能「視力」が登録できるようになる意味とは?

2022年06月17日 09時00分更新

ヘルスケアのデータは親しい家族や友人などに共有できる。共有する項目はとても細かく選べる

続々と新機能が追加されるヘルスケア

 昨年はヘルスケアに「トレンド」を表示する機能を追加した。デバイスが長期に渡りユーザーの健康に関わるデータを収集すると、ヘルスケアアプリから睡眠時間や安静時心拍数、呼吸数など20種類の項目について、一定期間に渡る指標の変化を示すトレンドが表示される。トレンドに変化が生じた場合、ユーザーの端末に通知を送る機能もある。

 iOS 15から、ヘルスケアアプリに蓄積されたユーザーのデータを家族やかかりつけの医師などが参照できるように「共有」できる機能も加えた。ヘルスケアに関わるすべてのデータは、ユーザーが使う端末の中に安全に保存される。誰と、どのデータを共有するべきなのかはユーザーがアプリの設定メニューから細かく決められる。

 ヘルスケアアプリが扱うべき情報に厚みが加わるたびに「ユーザーが自身の健康に関連するデータにいつでも素速く、簡単にアクセスできるように、ヘルスケアアプリのユーザーインターフェースは絶えずブラッシュアップを図ってきた」とウィリアムズ氏は振り返る。

「睡眠」のデータ解析により深く踏み込んだ

 睡眠記録にはwatchOS 9から新しく「睡眠ステージ」が加わる。

 Apple Watchが内蔵する加速度センサー、心拍数センサーからの信号を使い、ユーザーの睡眠段階を「レム睡眠」「コア睡眠」「深い睡眠」の各状態に分けて評価する。各ステージの記録はApple Watchの画面から見られるだけでなく、iPhoneからヘルスケアアプリを開くと、眠っている間に計測された心拍数や1分間の呼吸数などの履歴を、睡眠ステージの結果とクロスさせて見ることも可能になる。

睡眠ステージの計測機能。Apple Watchでグラフや通知が確認したり、iPhoneのヘルスケアアプリから心拍数や呼吸数の履歴をかけ合わせた詳細な履歴が見られる

 きっと筆者を含む多くのユーザーは、自分の睡眠ステージを把握した先にもう一歩踏み込んだ、生活習慣や睡眠の質を改善するためのアドバイスが欲しくなるはずだ。睡眠の質を向上させるために、「フィットネス」アプリのようなコーチング機能を睡眠ステージに追加することの有効性について、アップルは検討しているのだろうか。

 ウィリアムズ氏は「まだ多くのことが解明されていない人の睡眠という活動については、これから科学的知見がさらに深められる可能性があり、より多くのことを実現できる機会が訪れるだろう」としたが、具体的な機能の必要性に対する言及は避けた。

 睡眠ステージのデータは、ヘルスケアに関わるアプリの開発に重要な役割を果たすHealthKitのフレームワークを通じて開発者が利用できるようになる。開発者はアプリを使うユーザーから許可を得たうえで、詳しい解析やコーチングのサービスにヘルスケアのデータを活かせる。

 アップルにとってサードパーティのデベロッパーによる、高精度な睡眠コーチングや健康解析のアプリがwatchOS 9の正式リリース後に続々と誕生するかもしれない。

アップルが提供するHealthKitのフレームワークにより、サードパーティのデベロッパーもヘルスケアアプリと連携するアプリが開発できるようになる

 WWDCの開催にタイミングを合わせて、アップルは発表した次期OSの開発者向けベータ版を公開した。アップルが発表したwatchOS 9やiOS 16など各OSの新機能は、デベロッパーにとっては「建物の骨組み」や「ショートケーキのスポンジ」のようなものなのかもしれない。各OSの新機能に独創的なアイデアを肉付けしたサードパーティのアプリやサービスが充実することにより、ヘルスケアのエコシステムはさらに強くなる。

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