動画など肥大化するデータの増大からスマホの内蔵ストレージの容量不足を解消する手段として、外付けSSDやmicroSDカードへのデータ転送について、ちょうど1年ほど前に記事で紹介した。
最新スマホでは内蔵ストレージ容量が増加し、状況は以前より改善しているように見えるが、それ以上に日常的に4K/8K動画の撮影をするユーザーが増えており、まだまだスマホのストレージ容量不足の解消に、外付けSSDやmicroSDカードが活躍する場面が多い。
そういった中、2022年2月にSamsungからSDカードの高速データ転送規格「UHS-I DDR200」に対応する「microSD PRO Plus」が登場した。従来のmicroSDカードよりも高速にデータ転送が可能なため、スマホの大容量データを高速に転送できる手段として注目の存在となっている。
さらに4月にはポータブルSSDの新機種「Samsung Portable SSD T7 Shield」(以下、「T7 Shield」)が発売された。データ転送速度はリード最大1050MB/s、ライト最大1000MB/sと、ポータブルSSDとしてトップクラスの速度を誇る。
しかも、最大3mからの落下に耐える耐落下性能やIP65準拠の防水防塵性能、ハードウェア暗号化機能などを備えるなど、安全性に優れる点も大きな特徴の製品だ。
そこで今回は、SamsungのUHS-I DDR200対応microSDカード「microSD PRO Plus」とポータブルSSD「T7 Shield」を利用して、スマホからのデータ転送がどれだけ高速になるかチェックしてみた。
防水、防塵、耐落下性能を備えるSSDは
その速さも圧倒的だった
最初に、「T7 Shield」の容量1TBモデルをチェックしていこう。スマホとしてSamsungの「Galaxy S22 Ultra」を用意し、動画ファイルを転送する場合にかかる時間を計測した。
ちなみに、「T7 Shield」はUSB 3.2 Gen2に対応したUSB接続のSSDだ。したがってその性能をフルに発揮させるにはUSB 3.2 Gen2対応ケーブルが必要になる。「T7 Shield」にはUSB 3.2 Gen2対応のケーブルが付属しているが、読者の中には手持ちのUSBケーブルでつないでしまう人も多いだろう。そういう場面を想定して、USB 2.0対応のケーブルでも転送時間を計測してみた。
計測に利用した動画ファイルは、撮影時間約25分、容量約14GBの8K動画ファイル。この動画ファイルを、ファイル操作アプリ「マイファイル」を利用して内蔵ストレージから「T7 Shield」に転送するのにかかる時間を、ストップウォッチを利用して計測した。計測時間は、3回計測の平均を出している。
14GBの動画ファイルの転送にかかった時間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
ストレージ | 使用ケーブル | 転送速度 | 平均 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
T7 Shield 1TB | USB 3.2 gen2(Type-C to C) | 385.45MB/s | 39秒 | 39秒 | 39秒 | 39秒 |
USB 2.0(Type-C to C) | 34.16MB/s | 7分20秒 | 7分18秒 | 7分24秒 | 7分18秒 |
結果はケーブルによって大きく差が出た。USB 3.2 Gen2対応ケーブルでは39秒と圧倒的に高速に転送できたが、USB 2.0のケーブルでは7分20秒もかかっている。同じSSDでもケーブルによってこれほど転送速度に差が出てくるわけだ。
転送速度が遅いと思ったら、まずはケーブルを疑ってみよう。「T7 Shield」を使うならUSB 3.2 Gen2に対応したケーブルは必須だ。そのへんにあるケーブルを使わず、「T7 Shield」に付属するケーブルを使いたい。なお、「T7 Shield」の具体的な性能を知りたい人は、レビュー記事を参照してもらいたい。
「T7 Shield」1TBモデルの実売価格は2万990円前後。いくら高速なポータブルSSDとはいえ、スマホと一緒に持ち運ぶにはやや高額で大きいと思う人もいるだろう。そういう人には次に紹介するUHS-I DDR200対応のmicroSDカードがおすすめだ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう